相続登記について(2)

遺産分割協議による相続登記には、相続という登記原因の発生根拠となる法律事実、すなわち相続人の確定、相続財産の承継方法・分割方法を証する戸籍謄本及び遺産分割協議書等を提供することになります。このため、戸籍謄本及び遺産分割協議書等の内容の真実性、有効性、適法性が確保されていることが重要となります。

次に日本の相続登記制度を考える前提として諸外国の相続制度を考えます。

死亡などの相続原因が発生した場合に被相続人から相続人に財産が移転する形態としては、包括承継主義と管理清算主義の形態があります。

包括承継主義とは、相続原因の発生と同時に、被相続人と利害を有する者との間で何らの清算手続を経ずに、被相続人の財産が包括的に相続人に移転する形態です。【債務】について包括承継主義では、被相続人の財産は債務も含めて一切が承継されるため、債務の相続を回避するためには別の手続(相続放棄、限定承認)が必要になります。これは、日本、ドイツなどで採用されている形態です。もっとも、この場合でも、限定承認の制度を利用している場合には、所定の手続を経れば清算主義に近い形態になります。(本木敦)

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2018年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust