信託の基礎

今回から、受託者について話します。信託法においては、信託財産と並んで受託者は必要不可欠な機関となっています。他の機関について一言申し上げますと、委託者は信託設定の段階では重要な役割を果たしますが、遺言信託のように信託が機能してからは存在しない場合もあります。受益者も「目的信託」という特殊な信託では、受益者が存在しません。しかし、信託財産と受託者は信託においては絶対に必要です。この点を最初に確認しておきます。

受託者は、信託財産について完全な所有権を有しています。しかし、これは「信託の目的」に沿った管理・運用・処分を行う義務を負う、特殊な所有形態でした。なぜなら、受託者は「他人(受益者)のため」に信託財産を所有しているからでした。この「他人(受益者)のため」を実現させるため、信託法は受託者の義務というものを用意しました。主なもので5つあります。

・信託事務遂行義務(29条1項)

・善管注意義務(29条2項)

・忠実義務(30条~32条)

・公平義務(33条)

・分別管理義務(34条) 

です。ここに挙げられた条文は必ずご確認いただきたいのですが、この中でも特に重要な忠実義務についてみていきます。その後、分別管理義務についても話してみたいと思います。

忠実義務は30条に定められていますが、この忠実義務から導かれた31条の利益相反行為と32条の競合行為が、信託契約の作成や信託登記における信託目録において非常に重要となりますので、次回、この2つを確認したいと思います。(小出)

 

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2018年10月24日 | カテゴリー : 信託の基礎 | 投稿者 : trust