自分自身を自分で鍛える

先日、メジャーリーグを引退したイチローさんが、最後のイチロー杯で子供たちに「自分自身を自分で鍛えてほしい」という言葉を伝えておりました。 他者に厳しく接することが難しい時代だからこそ、自分自身で教育をしていくことの大切さを述べられておりました。

そうなると、いったいどこまで自分自身を鍛えていく必要があるのか、という問題にあたりそうです。私たちのような法律家でも同じです。そういえば、以前、ある司法書士が「僕たちはいつまで勉強をしなければならいのでしょうかねぇ。」とぼやいておりました。すると、すかさず別の司法書士が「くたばるまで!」と一言で返したことを思い出しました。

年の瀬です。一年の結果が出る時期となりました。その結果に人それぞれの思いはあるでしょうが、ここで、忘れたくないのは「志」ではないでしょうか。一年の総決算として、今一度、己の「志」を問い直すことが必要かもしれません。自身の「志」を振り返れば、自分で教育していくことを実行し、くたばるまで頑張ることができるかもしれません。

新年のさらなる飛躍を目指して、ますます精進をしていきたい、そう考えております。 本年もお付き合いありがとうございました。(小出)

こば紀行#100 東京ドーム

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第100回目は東京ドーム

中学の同級生の友人に誘われて、とあるロックバンドのライブに参加した。東京ドームを訪れるのは野球観戦も含め初である。東京駅から中央線に乗り換え、水道橋で下車、そこから徒歩10分弱のところにある。駅を降りたあたりから、ライブに参加すると思われる人の列ができ始める。18時半の開演を前に、会場周辺はものすごい人だかりだ。DJポリスならぬDJ警備員が会場へのすみやかな入場を促している。

このバンドのファン層のほとんどは女性だと聞いていたのだが、ごった返す人だかりはほぼ人科の雄で占められている。それもそのはず、この日のライブは「男祭り」と称した男性ファン限定のものだからだ。期待していた華やかな光景はどこにもない。いや、それどころか真冬なのに暑苦しい、どこか異様な熱気に包まれている。しかも、45,000人の男性ファン、そのほとんどは10-20代の若者達である。40代半ばのおっさんはおそらく我々2人だけだったであろう。

会場に入るとそこは、真っ赤なTシャツを身にまとった45,000人のヤロー共で埋め尽くされている。ヤロー共が身にまとうTシャツにはUVERworldの名が刻まれている。そんな中一人、紺のセーターではバツが悪いので、球場の売店で広島東洋カープの赤いTシャツを調達し、なんとかその場の景色に溶け込む。開演1分前からカウントダウンが始まり、いよいよライブが開始される。

開演と共に観客は総立ち、ヴォーカルの歌声に合わせて皆が熱唱する。時には右手を上げ、また時には飛び跳ねながら、中には涙する奴までいる。一方、私は曲名はおろか、ライブ会場で聞く曲のほぼすべてが新曲だ。一緒に熱唱、いや、口ずさむことすらできない。隣の熱狂的なファンのおかげで耳に入ってくるのは彼らの歌声ばかり..原曲がどんなものなのかも分からない。何とかテンションを上げようと、無意識に私が口ずさんだのは寺尾聡の「ルビーの指輪」。曇り~ガラスの向こうは…隣にいる彼らと私の隔たりは、ガラス張り以上に厚かった。

しかし、間違いなく私一人では知ることのできなかった世界。いろんな価値観を持つ友人に巡り会えた事は、私の人生にとって何よりの宝物である。(こばやし)

年末ですね

本年も残り少なくなってきました。毎年この時期になると、今まで放置していたこと(相続・遺言)や心配だったことを片付けたい(遺言・生前贈与・財産管理)、年末年始に子供たちが帰省するのでそこで話をしたい(手続きさせたい)と思われるようで、駆け込みの相談者の方がいらっしゃいます。

年末年始は普段会えない方とゆっくり話せるせっかくの機会ですので、ここで忌憚なくお話されることをお勧めします。親は子供に相続してほしい(又は贈与したい)と思っていて子に相談なく遺言を作成した場合、実際子はそれを負担と思っていたり、他の子が納得しなかったりして兄弟間がもめる場合もあります。逆に子にとって不平等な内容の遺言であっても、事前に家族全員がお互いどういう気持ちなのかをじっくり話すことで、納得してもめない場合もあります。

また、不動産の相続手続きもやらなくてもあまり生活に支障がないので、放置されがちですが、時間が経てば経つほど相続人が死亡して新たな相続人増えたり、関係性が遠くなって解決できにくくなります。せっかくの機会ですので、こういった放置していること・心配なことを話し合い、気持ちよくお正月を迎えていただきますようお勧めします。

信託の費用

 かつてこのブログでも、「報酬シリーズ」として信託に関する司法書士報酬について何回かにわたって書き綴ってみたことがあります。決して体系的に整理できているわけではないですし、司法書士界内部の法技術的な問題を多分に含んでおり、信託制度を利用されるユーザーの皆さんからすれば、関心があるのは「トータルでいくらかかるの?」という情報であって、その内訳が何の対価であるのかというような記事は、読んでいてもつまらない内容だったと思います。

 今回、改めてこの話題を拾ったのは、ある法律雑誌で「信託報酬は司法書士法の何に対する対価か?」という、かつての「報酬シリーズ」と似たような切り口で展開された論文を拝読したのがきっかけです。

 巷にあふれる司法書士事務所のホームページを俯瞰すると、相変わらず「信託財産の何%」という報酬体系を掲げた事務所が散見されますが、「報酬シリーズ」でも書いたとおり、依頼者や利害関係人に対し「請求する報酬の対価となる業務」を明確に説明できることはもちろんのことで、この点についてはある程度対応できるように思います。
 しかし、私たち士業の業務は法律によって厳格にその範囲が定められており「司法書士業務として行ってはならないもの」が一定数存在します。したがって、対価が何かの説明にも増して重要なことは「その対価となる業務は司法書士法上どのような根拠に基づいているのか」を明らかにできることであり、この論文でも同様の指摘がなされていました。

 このような「対価均衡性」の観点と「対価となる業務の法的根拠」は、信託関係業にかかわらず、また司法書士業務にかかわらず、あらゆる法律専門家が行う法的サービスに共通の要素だと考えます。
 読者の皆さんが法律専門家をご利用の際には、試しに請求された報酬額の根拠を求めてみてはいかがでしょうか? また、報酬にまつわるトラブルを防止するためにも、事前に見積書の提示を求めることをお勧めいたします!  (中里)

生前贈与じゃ~、いけないんですか?

 そういえば「2位じゃ~、いけないんですか?」と言った国会議員さんのことを思い出すタイトルですね(笑)
 さて、時々、こういうお問い合わせがあります。「民事信託でなくても、生前贈与すれば、財産管理できますよね?」
 確かに、信頼できるお子さん等にご自身の財産を贈与して、老後の面倒を見てもらうということはよく行われてきました。通常、そういう場合には、負担付き贈与にすると思います。しかし、この負担付き贈与がくせ者で、一旦、贈与してしまうとその財産は完全に贈与を受けたお子さん等の所有物となってしまうので、例えば、約束だった「面倒を見る」ということが反故にされたとしても、贈与を取り消して、元に戻すということは至難の業になります。そもそも裁判で争ったとしても、「面倒を見る」ということ自体曖昧で、その約束違反を立証することがとても難しいのです。結局、財産だけが贈与を受けたお子さんの自由な意思に基づき処分され、ご自身は恩恵を受けることがない、という悲惨な状況が生まれてしまうことになるのです。ですから、贈与をする以上、その恩恵を受けることはあまり期待しない方がいいと思います。

 一方、民事信託であれば、形式的には、受託者となるお子さん等に所有権が移りますが、実質的な所有権は未だ受益権者であるご自身に残ったままという状況になりますので、受託者に対する監督権を行使して、約束違反を防ぐことができます。しかも、贈与の場合には、贈与税がかかりますが、信託で受託者に移転する場合には、贈与税がかかりません。

 以上からすると、財産管理の観点からは、生前贈与より民事信託を活用された方がいいと思います。 
 ご注意いただきたいのは、民事信託は、あくまで形式的財産移転ですので、相続税対策等で財産をお子さん等に移す場合には、生前贈与が有効な対策となります。要は、制度のことをしっかりと理解し、使い分けをして活用することが大切になります。(名波)

 

 

後見制度について(3)

 今日のお話のメインである「任意後見」は、後見組織の形成に本人の意思を反映させる制度です。
 相続制度は、本人の意思を表明しないままに死亡したときに備える相続制度と、本人の生前の意思表示を尊重する遺言制度があるように、成年後見制度においても、本人が意思を表示しないまま判断能力が低下した場合に備える法定後見制度のほかに、本人の事前の意思表示を尊重する任意後見制度を設けているのです。

 

 それでは、このような後見制度があることはおわかりいただけたとして、やはり、日常生活のなかで支障が出てこなければこのような制度を利用することを考えないのが実際のとことだと思います。それでは皆さんどのようなきっかけでこの制度を利用しているのでしょうか。

 気がついたら本人が意思を表示しないまま判断能力が低下した場合に備える法定後見制度のきっかけについて、私が実際に扱わせていただい事例からご説明していきます。(本木敦)