自分でできる

最近、インターネットの普及、技術革新が進んだことにより「専門家は不要になるのではないか」という話があちらこちらで囁かれております。

現に、ネットには『自分でできる』『誰でもできる』などの謳い文句により、専門家に頼むより費用が安く出来上がるサービスを提供している業者がおります。

例えば、ある業者のサイトでは、会社設立を専門家に頼まなくても、予め決めれらた事項を入力すれば、自分で書類が作成することができ、指示通り進めれば無事会社が設立できるようになっています。費用も最低限で設立することができ、顧客満足度も非常に高いとのことでした。

また、ネットには様々な情報があふれています。中にはネットから書式の雛形を無料で取得し、法務局に相談の上、全部自分で手続きして会社を設立した人もおり、できる限り自分でやりたいという人は増えているそうです。

私としては、このようなサービスや行動を頭から否定する気はありません。顧客にとって利便性が高く、ニーズもありますし、今まで、専門家の方が『専門家』であることや『独占業務』であることに安心してしまい、大した努力をしてこなかったことも事実だと思います。

 

ただ、専門家に相談せずに手続した方の書類を見た際に非常に多く感じることは、『確かに手続きは完了しているけど、これって色々と問題あるな』というものです。

正直に申し上げまして、あからさまに間違っている場合や書類が足りない場合以外は、基本的には手続自体は完了します。ただ、手続きは完了しているからその方にとって過不足ない出来なのか、というと、大変失礼ですが、イマイチなことも少なくありません。(無論、その方にとっては安い方が大事なのでそが一番、ということでしたら大きなお世話ですが)

専門家の視点からすると、『ここをああしておけば、後々この業務をやる場合に便利なのに』とか、『この会社の株主構成の場合、この定款の文言だと将来揉める可能性があるから、やめておいた方がよかったのに』など、表面には出ていない問題に気が付くことがあり、相談してくれれば良かったのにと思います。

 

まずは専門家の側が、高い費用を払う価値があると思ってもらえるようになるのが先だと思いますが、費用だけで決められてしまうことに抵抗を覚える今日この頃です。

2018年10月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust