公正証書で作成した書類は公正証書で変更する必要ある?

公正証書に関するお問い合わせの中で、よくあるのが、「公正証書で作成した書類があるのですが、内容を変更する場合、再び、公正証書にする必要があるのでしょうか?」

皆さんはどう思われますか?

答えは、契約書の条項に「公正証書にて変更する」とか、公正証書でしかできないようなこと以外は、公正証書でなくても変更することができます。

遺言でも同じ事が言えます。公正証書遺言を作成したあとに、その遺言を撤回して新たな内容の遺言を作成する場合、自筆証書遺言でも大丈夫です。

どうしても、公正証書の方が効力が強いイメージがあるので、そう考えてしまうのも無理がないと思います。

ただ、当初、公正証書で作成したときには、それなりの理由や背景があってのことだと思います。そういう意味においては、作成したときの事情が変わらない限り、その内容の変更するにあたっても、公正証書で行うことの方が好ましいことは言うまでもありません。いずれにしても慎重なご対応をお勧めいたします。(名波)

地目変更を条件とする農地の信託契約

現状,Aを所有権の登記名義人とする農地である甲土地について,自然人Bに対して,信託を登記原因とする所有権移転及び信託の登記を申請することはできません。理由は,自然人Bに対しては農地法所定の許可が下りないからです。

 さて,今回のお客様であるAは,その農地である甲土地についても信託契約をしたいという希望をお持ちでした。そこで,農地については,条件付きで信託契約したいということです。その条件とは,甲土地の地目が農地ではなくなった場合には,甲土地についてもBに対して信託したいということです。

 この場合には,条件が成就したときに問題が生じるおそれがあると考えています。それは,Aの意思能力の問題です。信託契約の効力が発生したことと信託の登記の申請意思はまた別の問題です。信託の登記を申請する場合には,そのときに申請意思がなくてはならないと考えています。

 折角のAの希望も,効力発生時の意思能力の問題で登記ができないというのは些か理不尽な気もいたしますが,登記に携わる司法書士としては避けて通ることのできない問題です。(本木)

保佐人の代理権

先日、とある方の保佐人選任の申立ての書類作成を行いました。本人と関係機関の要望から当職が保佐人候補者になりました。保佐人には、原則として代理権がありません。しかし、本人が希望すれば保佐人に代理権を付与することができます。そこで、本人の希望に沿って、いくつかの代理権の付与を申し立てました。

後日、家庭裁判所から連絡がありました。要件は代理権の付与の一部を取り下げてほしいとのことでした。理由は、司法書士の職務範囲外の代理権だからだそうです。

???

保佐人の代理権の付与について、司法書士の職務範囲に制限するような規定は、条文上記載されていないのですが・・・ とりあえず、本件保佐業務では当該代理権が必要である旨の事情を説明した上申書を提出して、ついでに当職でなく弁護士を選任していただいても結構である旨も記載しておきました。

こんなことだから、後見制度は敬遠されるんだということは裁判所は自覚してほしいです。(小出)

こば紀行#96 ほつむら

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第96回目は、ほつむら

その秘境は浜松市北部、水窪のさらに奥地にある。浜松中心街から車で2時間、水窪の都心からさらに40分、水窪からの道中はほぼ対面通行不可の林道で、所々に転がり落ちた岩が散見される。濃霧の中林道を走り抜けると、山肌に沿うような形で目的地は現れた。

水窪大沢集落、生活を営む世帯数は4世帯、標高736M、携帯ネット使用不可。そんな場所に農家民宿「ほつむら」はある。素泊まり大人4,000円で食事は原則持ち込み、自炊。露天風呂からは水窪の山々が見渡すことができ、夕暮れ時であればさぞ爽快な気分になれるはずだ。あいにく、私が風呂に入った時間帯は夜も10時を回る頃で、辺り一面真っ暗、オオカミかクマでも出るんじゃないかという恐怖心に晒された。それでも一度入ってみる価値はあると思う(要予約とのこと)。

さて、今回私がここまでやって来たのは、とある人物の取材のためだ。その人物は、とある施設の、小学校高学年から中学3年までの生徒を対象とした、ここ「ほつむら」での野外活動を体験する企画に参加している。司法書士歴18年、正義と弱者救済を信念とする彼は、同職の中でも異色の個性を放つ。その彼が子供達に何を伝えるのか…とりあえず、この場で出くわす彼はいつも以上に野性味を帯びていて、クマにも似た風貌である。(つづく..か)

権利証は失くさないで!

不動産を所有し、その旨の登記手続きを行うと、所有者に対し、登記識別情報(もしくは登記済証)というものが発行されます。この「登記識別情報(もしくは登記済証)」は、いわゆる「権利証」と呼ばれるもので、その方が不動産を所有していることの証となるものです。

この権利証は、所有権を取得したときに1度だけ発行される大切な書類で、万一失くしてしまった場合でも再発行はされません。ただ、もし権利証を失くしてしまった場合でも、「所有権」という権利を失うわけではないので、不動産の所有者として、通常通り所有不動産を使用したり賃貸したりすることは可能です。ただ、権利証が盗まれて悪用されるという可能性もありますので、厳重に管理をしていただくことをお勧めします。

ただ、権利証が盗まれて悪用されるという可能性もありますので、厳重に管理をしていただくことをお勧めします。

また、不動産の名義変更をするときや不動産を借入の担保として抵当権を設定するときには、権利証が必要になります。権利証を失くしていても名義変更の手続きは可能ですが、権利証がある通常の場合とは異なる手続をとることになりますので、場合によっては権利証がないために登記費用が高くなることもあります。

お引越しの際、相続の際などに権利証が亡くなることが多いので、ご注意を頂きたいと思います。