民事信託受任のために3

本木敦です。

前回までに本人から聞き取りをする旨を述べた。

筆者は,聞き取りの対象は本人だけではないと考えている。基本的には,少なくとも推定相続人の全員と個別に又は一同に介して聞き取りをすることが望ましい。なぜなら,今後長期間にわたって存続することになる信託のため,家族の理解は不可欠と考えているからである。

筆者は,将来年表のようなものを作りながら聞き取りをする。10年後には何歳になっていて,建物も築何年になっていて,何年後にどのようなイベントが控えていて,といった要領である。このようなことを共有しつつ,本人を始めとして家族に何が必要なことなのかを教えてもらうよう勤める。

こちらからの信託の押しつけになることだけは避けたい。なぜなら,絵に描いた餅になってしまうリスクをはらんでいる。

信託を考えるにあたり,筆者は絶対に外してはならない視点があると考えている。

続く