書籍探検⑦ 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した

彼岸の季節です。

お墓参りにはいかれましたでしょうか?

彼岸はいわゆる悟りの世界を示す仏教用語です。

ここで仏教の誕生の背景を説明します。

仏教は今から約2500年前にインド北部で誕生しました。

当時のインドでの主流な宗教はバラモン教であり、その教えはこの世の全ての現象は神の思し召しによって成立するとのことでした。

人間も神が作った現象の一部であり、人間が何か願い事があるとき、神を称賛しお供え物をすればご利益があると考えられていました。

しかし、普通の人間がお願い事をするには「バラモン」という神との対話ができる特別な能力者を通じてする必要がありました。こうして、インドでは「バラモン」が一番高い地位を持つことになり、その次が「クシャトリア(王侯、武士)」、「ヴァイシャ(庶民・農・牧・商人))」、「シュードラ(奴隷)」という順番の階級ができました。

そして、この階級は「生まれ」によって決まり一生変わることはありませんでした。

仏教の開祖ブッダはこれを不条理と考え、人間の価値は生まれや血筋とは関係なく生まれたときは「全員平等」と考え、人が幸せになるかは、どのように生きるかによって決まると説きました。

これがインドでの原始仏教の基本的な考えです。この原始仏教の考えはインドからシルクロードをとおり中国に伝来し、中国から海を渡って日本に伝来するときには大きく変容を遂げていました。

そして、日本では浄土真宗、浄土宗の浄土系、臨済宗、曹洞宗の禅宗系、その他にも多くの宗派が誕生しました。

義務教育での歴史授業では仏教宗派は単なる暗記で全く面白みのないものだったかもしれませんが、本書では仏教の変容課程が歴史背景とともに詳細に記述され興味深いものとなっています。(野々垣)

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