シリーズ 信託の“肝”(18)

関係者の将来にわたる長期間の生活環境の変化を見通すことが重要という指摘をしましたが、司法書士の中には、このような作業に長けている者は少なくありません。

というのも、私たちの日常業務のひとつに、多重債務への対応があります。相談者の状況によって、①裁判所を利用しない「任意整理」、②裁判所を利用して元金一部免除後の残金分割払いを基本とする「個人再生」、③全額免除を基本とする「破産」、の3つの選択肢の中から最適な方法をご提案していくわけです。
この時、私たちに求められるのは「相談者の生活再建」という視点です。相談者の職業、年齢、住環境、ご家族の状況、数年先の生活環境の変化(親の介護、子の進学、出産など)に伴う収入減や支出増の予測など、さまざまな要素を想定しながら「生活再建」に資する選択肢を提案することが、法的支援に携わる私たちに求められる責務なのです。

日頃から繰り返しているこのような作業は、信託における制度設計にもとても役立っています!  (中里)