事業経営者の場合、資産はすべて事業に供されているケースも少なくないため、どうしても事業の後継者に遺産、特に不動産や自己株式をまとめて承継させる必要が出てきます。
この設問は、資産の承継という観点だけでなく、事業承継という観点からもさまざまな検討ができそうですが、いかがでしょうか? (中里)
事業経営者の場合、資産はすべて事業に供されているケースも少なくないため、どうしても事業の後継者に遺産、特に不動産や自己株式をまとめて承継させる必要が出てきます。
この設問は、資産の承継という観点だけでなく、事業承継という観点からもさまざまな検討ができそうですが、いかがでしょうか? (中里)
共有名義の不動産を売却するには、共有者全員が売主として売買契約を締結する必要があります。契約締結から残金決済までは通常の場合1ヶ月程度の期間を要しますが、仮にこの間、共有者のうちの一人が認知症により契約を締結する意思能力が確認できない状態になってしまうと、売買契約は成立しません。この場合、家庭裁判所で成年後見人の選任をしてもらい、選任された成年後見人と他の共有者との間で改めて売却についての話し合いをしなければならなくなりますね。
また、共有者が多数で、それぞれ遠方に在住していたり、中には海外在住者などがいると、契約の締結その他の事務作業にいちいち全員が集まることも困難となります。
さらに、このようなケースでは、売買代金の分配を受けるために名義を共有としているが、売買条件の決定や契約締結の事務作業は代表者に一任したいなどのニーズがあるケースも少なくないでしょう。
信託の活用ができるでしょうか?
また、信託以外にもよい方法がありますか? (中里)
A・このようなケースはしばしば耳にします。まとまったお金を一括して承継させるのではなく、生活費の補てんを目的として毎月一定額を送金できるような準備をしておけるとよいですね。
遺言信託が活用できそうですが、どなたか具体的なスキームをご提示ください。
A・ご希望を叶えるためには、あなたが「Aに相続させる」という内容の遺言を作成したうえで【ⅰ】【ⅱ】のいずれかの準備をしておく必要があります。
【ⅰ】奥さん(A)とあなたの子(B)が養子縁組をする
【ⅱ】奥さん(A)が「Bに遺贈する」という内容の遺言を作成する
しかし、【ⅰ】はAB双方の理解が必要となるため現実的ではありません。また、【ⅱ】もAにこのような遺言の作成を強制させる手段はありませんので、確実な方法とは言い難いのが実情です。
なお、遺言はあなたの遺産の帰属先を指定できるのに止まり、さらに次の帰属先まで指定することは認められていませんので「Aに相続させ、Aが死亡後はAがBに遺贈する」という遺言を遺しても、無効とされてしまいます。
さて、皆さん、どんな方法が考えられるでしょうか?
ご兄弟が1棟のアパートを共有すると、家賃の改定や大規模修繕、建替えなどの際に、お二人の意見調整が必要となり、柔軟な対応に支障が生じる可能性も否めませんね。また、将来の相続を考えると、いとこ同士、さらにははとこ同士の共有状態が生じ、さらに意見調整が困難となる事態も想定できます。
このようなケースでも民事信託が活用できます。受託者を兄弟の一人、受益者を兄弟お二人とすることで、ご希望を叶えることができそうです。
この回答者の小林さん、もう少し詳しく解説して下さい!
このようなご心配は、お子さんや近親者のない方にとっては、特に深刻な問題です。解決策の一つとして、ご自身の資産の中から葬儀や永代供養等に充てる費用を信託財産とし、希望する具体的方法を信託条項によって、受託者に指示しておく方法が有効です。遠縁の方、友人などから信頼できる受託者を選定し、この方への報酬も定めておくとよいでしょう。また、その他の資産について遺言を作成しておくことも、あわせてご検討ください。
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