Q・私には息子と娘がおり、妻は数年前に他界しました。私は事業を営んでいるので、後継者である息子に資産を承継させたいと思い、娘もその点は納得しているのですが、息子は少し体が弱い点が心配です。息子に万が一のことがあった場合、息子の配偶者に資産が移ってしまうと、娘が少しかわいそうな気がします。娘に何らかの形で財産を遺す方法はないでしょうか。

事業経営者の場合、資産はすべて事業に供されているケースも少なくないため、どうしても事業の後継者に遺産、特に不動産や自己株式をまとめて承継させる必要が出てきます。

この設問は、資産の承継という観点だけでなく、事業承継という観点からもさまざまな検討ができそうですが、いかがでしょうか?  (中里)

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Q・私には息子と娘がおり、妻は数年前に他界しました。私は事業を営んでいるので、後継者である息子に資産を承継させたいと思い、娘もその点は納得しているのですが、息子は少し体が弱い点が心配です。息子に万が一のことがあった場合、息子の配偶者に資産が移ってしまうと、娘が少しかわいそうな気がします。娘に何らかの形で財産を遺す方法はないでしょうか。」への10件のフィードバック

  1. 娘さんへ何らかの形で財産を遺す方法は、通常ですと遺言(できれば公正証書遺言で作成)ですよね。もしくは、生前贈与等も考えられると思います。妹さんと息子さんのご家族との人間関係が良好であれば、相続時の遺産分割協議に委ねることも一つの選択肢かもしれません。生命保険の活用ということも考えられると思います。
    息子さんが体が弱いとう点からすると、事業の継続の面で課題がありますので、実質の次の承継者のことを視野にいれながら、民事信託の活用も考えられると思います。
    制度の活用を考える場合、人間関係を無視するとかえって課題を複雑にしてしまいます。
    当時者の背景やニーズをしっかり把握する必要があると思います。

  2. 「生命保険の活用」というのは、具体的にどうするのですか?

  3. 生命保険は相続財産ではなく、受取人の財産になります。例えば、娘さんが遺留分の請求をすることが想定される場合には、息子さんを受取人とすることにより、娘さんからの遺留分の請求に充てることができます。
    もしくは、娘さんを受取人とすることによって、ダイレクトに娘さんに財産の一部を渡すことができます。
    また、最近では、保険会社が受託者、受取人が受益者となって、保険金を一度に渡すのではなく、徐々に渡す方法もあるようです。今回は、ここまでする必要はないと思いますが、保険金が相続財産ではないという性質を活用して、財産を承継する選択肢にバリエーションが生まれます。
    但し、相続人一人あたり500万円×相続人の数を超える保険金は、相続税の課税対象とはなりますので、相続税の心配のある方は、税理士さんへの相談もお勧めいたします。

  4. 遺留分対策で生命保険の活用が名波さんから挙げられましたが、生前贈与の際に「持戻し免除」の意思表示をしておくことも検討できないでしょうか?

    どなたか解説をお願いします。

  5. 確かに、持戻し免除の意思表示をしておくことで、贈与をした方の想いの実現をサポートすることになります。ただ、遺留分対策という側面からすると、「遺留分には特別受益の持戻しの有無が関係ない」とされていますので対策としては不十分ということになると思います。

  6. そもそも「持戻し」とは、次のように生前贈与等を受けた相続人と受けていない相続人との間で、遺産相続における不公平感を解消しようという趣旨で規定された計算方法のことですね。

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    被相続人が生前に贈与した財産については、贈与した財産の評価額相当分を被相続人の遺産に加算したうえで、具体的な相続分を算出することが原則とされており、これを「持戻し」といいます(同条1項)。
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    しかし、この趣旨を強硬に貫くと、特定の相続人だけにたくさん分配してあげたいと考える贈与者の意向が思うように実現しないこととなります。
    そこで、持戻しは任意規定と考えられ、贈与者が持戻しを免除する意思表示をした場合には遺産に加算されません(同条3項)。

    しかし、実際にはわざわざ持戻し免除の意思表示をするケースは少なく、また、贈与者に持戻し免除の意思が存していたとしてもその意思を明らかにする資料がないことから、実務上はあまり機能していないのが実情でした。

    今般の相続法改正では、長年連れ添った配偶者の貢献を相続手続に反映させることが改正の大きな目的の一つであることから、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、他方に対し現に居住している住宅やその敷地を生前贈与した場合、当該贈与については持戻し免除の意思表示があったものと推定する旨の規定が新設されました(同条4項)。
    なお、平成32年4月1日以降は、居住用財産だけでなく配偶者居住権(改正民法1028条)も対象となります。

    しかし、持戻し免除の意思表示をした場合であっても、名波さんが指摘するように、相続人が最低限取得することのできる権利である「遺留分」までをも侵害することはできないとされているのですね。

  7. 事業承継がテーマですので、社長である「私」が持つ自己株式を信託財産とし、信託の手続きを活用した提案ができないでしょうか?

  8. 息子さんへの事業承継を考えているとのことですので、早期の自社株式の承継、つまり、生前贈与の検討が一つの選択肢となります。一方で、息子さんが体が弱いということですので、手放しで承継できない状況にもあると思います。そこで、一つのスキームとして考えられるのが、自社株式を息子さんに生前贈与した後に、息子さんを委託者、受託者を「私」にするという形です。そうすることで、自社株式の早期の承継が完了すると共に、議決権行使は現状と同じ「私」になるので、様子を見ながらの事業承継が可能となります。

  9. はい、私が想定しているのは、登録を済ませている保険会社です。
    私が知っている限りでは1社あります。

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