帰属権利者の部分について

皆様、帰属権利者の部分はどのように定めてらっしゃしますか?

委託者が死亡で終了する信託で、特定の人に財産を承継させたいという希望がない場合、帰属権利者を定めなければ委託者の相続人になる、(結果的には相続、遺産分割と変わらない?)と単純に考えていたのですが、会員の方から質問をいただきました。

「条文上は、「信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合には、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。」となっており、信託終了後、財産自体が相続人に帰属することには変わらないが、財産に対する権利は帰属権利者間では平等であり、法定相続分とは違うのではないか。結果的に法定相続人と信託法の規定により帰属権利者となった相続人は、メンバー自体は変わらないが、帰属権利者間で話し合いがまとまらない場合には持分を平等となるのではないか」という質問でした。

要は、配偶者と子2名が相続人の場合、相続と異なり各3分の1となるのではないか、というものです。

権利の放棄は可能なので、協議がまとまる場合には特段問題ないかもしれませんが、相続人間で揉めた場合は相続と信託していた場合で結論が異なるのかな、と思いました。

信託財産の引継ぎの登記をやったことがなく、何となく「信託が終了したところで協議して決めればよいのでは」くらいの気持ちでいたのですが、今更ながら不安になりました。

必ず帰属権利者を決めておく、というのが一番かもしれませんし、そもそも「そんなことにはならない」とかあるのかもしれませんが、お知恵があれば教えてください。

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帰属権利者の部分について」への5件のフィードバック

  1. 中川さん、こんばんは

    ご質問の件ですが、どうなんでしょうか?

    分かりませんが、分からないなりに考えてみました。

    私は、単純に法定相続分によると思います。そうでないと不都合があるからです。

    例えば、委託者(=受益者)が積極財産を信託した後に金融機関から多額の融資を受け返済することなく死亡した場合を考えます。この場合、法定相続分でないと主張する方の理屈によると、相続人は相続放棄をすることによって負債を免れるが、残余財産は頂いてしまうということができるということになってしまいます。なぜなら、残余財産は相続法理とは別に手に入れた相続人の共有財産だからです。しかし、この結論はあまりに不当だと思います。

    条文にも「相続人」と記載されているのですから、法定相続分の考えが自然ではないでしょうか。

  2. 中川さん,なるほど,と思ってしまいました。

    私がこれまでにかかわらせていただいたものは,帰属権利者を決めていました。
    決めていなければ,下記の中川さんのあげてくれた条文により,漠然と,相続人
    と思っていました。

    「信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合
    又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがそ
    の権利を放棄した場合には、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継
    人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。」

    の読み方ですね。新井先生の本や信託法を解説する本を見ましたが,182条2
    項をそのまま記載している程度で,法定相続分かどうかは分かりませんでした。

    で,改めて条文を読みますと,「その相続人その他の一般承継人を」とあり,
    相続人だけの場合,相続人と一般承継人が両立する場合,その他一般承継人だけ
    の場合に分けられる,とも読めます。
    そうすると,複数の者がいる場合には,共有か合有か総有かも判別しないですね。

    合理的に考えてよければ,個人的には,小出理事の結論にもっていきたいのです
    が,条文だけでは判然としません。

    より,明確にするには,やはり信託契約書において,相続人に法定相続分どおり
    帰属する等と記載しておくほうがいいのかもしれません。

    一般承継人については下記ブログを参照(京都の内藤先生です。)
    https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/a1cb93153c591558156eee395027c02e

    コンメンタールをお持ちの方がいらっしゃるようでしたら,是非ご紹介ください。

  3. 「相続人・・・を権利帰属者として指定する旨の定めがあったものとみなす」

    の「相続人」は、個々の法定相続人をそれぞれ指しているわけではなく、「委託者の相続人全員」を包括的に指していると考えるべきだと思います。

    そうすると、信託終了により信託財産は「委託者の相続人全員」に帰属することとなり、すなわち「遺産」と同視できることになりますので、結論として小出さんの指摘のとおりとなるものと理解しています。

    なお「その他の一般承継人」の部分は、委託者が会社や法人の場合を想定した規定だと考えられるので、本木さんが指摘するような「相続人だけの場合,相続人と一般承継人が両立する場合,その他一般承継人だけの場合に分けられる,とも読めます」と深読みする必要はないと思いますが、いかがでしょう?

  4. 「相続その他一般承継人」と定めれている規定を参考にすればよいのかな,と思い,少し調べてみたところ,会社法162条にその規定がありました。これを考えれば,今回のケースも個々の法定相続人を指しているわけではないものと考えることができると思います。

    (相続人等からの取得の特則)
    第百六十二条 第百六十条第二項及び第三項の規定は、株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

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