先日、5年以上前に亡くなった父親の相続手続きのやり直しをしたい、との相談を受けました。
亡くなられた方(父親)には、妻(相談者の母)、と相談者を含む何名かの子がいたそうで、
皆で話し合った結果、長男(相談者から見ると兄弟)が後継ぎということで、実家など他の相続人より多くの財産を相続したそうです。
しかし、最近になってその長男が亡くなり、父親から長男が相続した財産を、長男の嫁や子(亡くなった方の孫)が相続することになったため、遺産分割協議の際に思い描いていた方向性と変わってしまったそうです。
相談者の方としては、『長男が後継ぎとして相続し、実家を守っていくなら納得できるが、それができなくなった以上、長男の相続人ではなく、自分たちの兄弟の誰かが相続して守っていくようにしたい』との思いをお持ちでした。
相談者の方としては、相続するのは○○家の財産であり、○○家の者が継いでいくべき、とのお考えでご相談いただいたのですが、一度相続手続きが完了し、名義変更したものを別の方に名義変更することは容易ではありません。
もし、やり直しをしたいのであれば、相続人全員で決めた『遺産分割協議』という契約を解除する必要がありますが、相続人の一部の人が勝手に解除することはできません。
また、一度相続手続きが完了した財産を別の方に名義変更すると、『贈与』とみなされ贈与税が課せられる場合があります。
この場合、長男が相続した財産の処分は、長男ご自身の遺言書があればその内容に従い、遺言書がなければ長男の相続人の判断で行われることになり、相談者(長男のご兄弟)が干渉はできません。
相談者は納得いかない様子でしたが、一度名義が変わってしまうと、『あれは○○家の財産』は通用しません。
相続の名義変更の話し合いの際は、今後色々な事態により、財産の行方が変わる可能性があることにご注意ください。