相続で相談を受ける際、遺産を誰がいくら相続するかということだけではなく、『葬儀費用を負担すべき人は誰か』ということでもめているケースは多いです。
結論から申し上げますと、原則として葬儀費用を支払う方は決まっておりません。
法律で明言されているわけでもありませんので、要は誰が支払っても結構です。
しかし、それは『相続人全員が必ず負担しなければならないものではない』ということ、
『相続財産(遺産)から必ず支払うべきもの』ではないことを意味しています。
親の遺産から葬儀費用を捻出するつもりで(当然親の遺産から出すべきものだと思って)葬儀を執り行ったら、
後日、他の相続人が『自分は葬儀費用を負担するつもりはない。遺産から勝手に葬儀費用を出さないでくれ』と言われて
もめることはよくあります。
親の遺産から出すのが当然、相続人が平等に葬儀費用を負担するのが当然、と考える方は多いのですが、
実は、上記のケースの他の相続人の主張はおかしなものではなく、『葬儀費用は喪主負担』という判例があります。
質素な葬儀にするのか、それとも盛大な葬儀にするのかは喪主が決めることだから、決定者である喪主が費用を支払うべきだという考えです。
葬儀費用は決して安くない費用である上、『死』という突然の事態に対し限られた時間内で契約しなくてはならないため、
その内容や費用や費用の捻出先に相続人全員が納得していないことも多いです。
親が元気なうちに葬儀について話すことは縁起でもない、と言われがちですが、
やり方、規模、費用負担をどうすべきかを親と相続人全員で話しておかないと
大きな火種を残すことになります。