こば紀行#34 甲子園球場

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第34回目は、甲子園球場

高校野球は毎年ではないが、時々甲子園まで観戦に行く。栄冠を掛け、負けたら後がない1度きりの勝負に、全力で臨む姿勢と、それを全力で応援するあの雰囲気が好きだからだ。

最初に訪れたのは2004年夏、ダルビッシュ擁する東北高校戦。当時からダルビッシュ人気は絶大で、追っかけの女性ファンもできるほど…他の試合と比べ、球場は異様な雰囲気に包まれていた。最も私はダルビッシュ本人よりも、2番手で登場する黒縁メガネの真壁投手を応援していた。スター級の人気と実力を持つ、イケメンエースのあとに登場するメガネの2番手。色んな意味でのプレッシャーの中、地味な風貌と堅実なプレイスタイルに魅了された。しかし、当時、私が甲子園まで観戦に行くことを話すと、周囲からは「あいつはダルビッシュの追っかけのおっかけだ!」と揶揄された。確かに、はずれではない。

2006年夏、この年の注目は何と言っても、早稲田実業斎藤佑樹。後にチームメイトとなる大阪桐蔭中田翔との対戦や、最早伝説と化した、田中将大率いる駒大苫小牧との決勝引き分け再試合等、いずれの場にも居合わせることはできなかった。しかし、「ハンカチ王子」フィーバーで人気・実力共に絶頂期の佑ちゃんの姿を生で見られたことは、何となく誇りである。ちなみに、同じ時期、ゴルフ界で躍進し始めた石川遼の呼び名は「ハニカミ王子」。そして、当時、職場での私の呼び名は「ハレンチ王子」…確かに、はずれではない。

さて、今年。訪れたのは大会第11日目、3回戦。花咲徳栄、広陵、聖光学院等、強豪校ばかりの好カードが揃う中、第4試合大阪桐蔭-仙台育英の名勝負を三塁側(仙台育英側)スタンドで目にする。息の詰まるような投手戦、1点を追う仙台育英、ドラマは9回裏に起きた。あっさりと2アウトを取られ、仙台応援席でさえ諦めムードが漂う。しかし、5番バッターがセンター前ヒット、すぐさま盗塁を決め、歓喜に沸くスタンド。続く6番はフォアボールで、2アウト1.2塁。そして、7番、初球をバットに捉えるもあえなくショートゴロ。「あぁ…」ため息とも悲鳴にも似た歓声が飛ぶ中、バッター懸命のヘッドスライディング、だが、明らかにボールの方が早い。試合終了、ナイスゲームと拍手しかけたその時、球場全体がどよめく。三塁側からでは何が起きたか分からない。が、スコアボードに目を遣るとエラーの表示!一塁手の足がベースを踏んでおらず、セーフの判定。万事休すから一転、満塁逆転のチャンス。三塁スタンドは観客総立ちで、大歓声と共に手にした手拭いを振り回す。そして、続く8番の逆転サヨナラ弾!!高校野球の醍醐味が詰まった様な試合。「野球は9回2アウトから」「甲子園には魔物がいる」ありきたりの言葉だが…確かに、はずれではない。(こばやし)

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