シリーズ 信託の“肝”(9)

(前回の続き)

実質的な利益の帰属者と考えられる受益者には「信託の効力発生時に贈与税が課せられる」のが原則的な考え方です。
このため受益者は、翌年の確定申告の時期に贈与税の申告をし、所定の税額を納付する必要が生じるわけです。

ところが、一般に贈与税はとても高額となります。そこで信託をプランニングする際には、受益者の納税の可否についても十分な検討が必要になりますし、贈与税が課せられない方法、あるいは特例措置を利用して納税を猶予する方法を検討する必要があります。

このテーマ、さらに続きます。   (中里)

シリーズ 信託の“肝”(8)

税の続き。

成年後見人のような財産管理人の場合、管理権があるだけで所有権そのものは成年後見人などに移りません。
一方、信託では、委託者から受託者に信託しようとする財産の所有権が移ることが大きな特徴のひとつです。

しかし、所有権が移るといっても、それは「形式的」な譲渡にすぎません。受託者は、信託によって「実質的」に利益を得るわけではないのです。

信託により「実質的」に利益を得る者は?
そう。それは「受益者」ですね。

シリーズ 信託の“肝”(7)

税の続きです。

税制度というのは「実質的に利益を得た人から、利益に応じた応分の税金を徴収する」ことを基本としています。

売買契約なら、売買代金を受け取った売主に
贈与契約なら、タダでもらった受贈者に
労働契約なら、給料を受け取る従業員に それぞれ税金が課せられますね(給料の場合、源泉徴収の方法で所得税相当額が天引きされますね)。

では、信託の場合に「実質的に利益を得た人」は誰でしょう・・・? (中里)

シリーズ 信託の“肝”(6)

信託にはプランニング能力が必要というのが前回のテーマでした。

プランニングのひとつに「税」があります。
日本の税制度はとてもきめ細かくできており、資産の移動があれば必ずと言っていいほど課税の対象となりますので、信託をプランニングする場合にも「誰にどのくらいの税金がかかるか」をいつも意識しなければなりません。

このため、信頼のおける税理士との連携は、「叶」にも不可欠です。
「我こそは!」という税理士の方、私たちの活動にご参画をお待ちしています!! (中里)

シリーズ 信託の“肝”(5)

信託の文献を紐解くと、しばしば登場するのが「プランニング能力」という言葉。

信託契約は、受益者の暮らしを支援するため、受託者に対し一定の行為を長期にわたって強いる性質をもつことから、支援を受ける受益者の環境変化だけでなく、支援をする受託者の環境変化にまで配慮したきめ細かいプランニングが必要となるわけです。

関係者の暮らしをいかに想像できるか、これが、契約締結に携わる私たちに求められる “肝” といえるでしょう。   (中里)

シリーズ 信託の“肝”(4)

せっかく信託を利用したいと考えても、親族や知人に受託者をお願いできるような人がいない場合、誰に財産を託せばよいのか悩みます。

ひとつの選択肢は、法律の専門家に受託者をお願いする方法です。
もちろん、月々の経費が発生することはやむを得ません。

ただしこの場合、信託法と似た名前の法律「信託業法」による規制を受ける点に注意が必要です。
反復継続して受託者に就任するには信託業法による登録が必要で、登録が受けられるための要件はとても厳しく定められています。実際に登録を受けているのは、主に信託銀行です。
「不特定多数の委託者から多額の財産を預かる立場にある受託者は、組織も経済的基盤もしっかりしていなきゃダメ!」というのが、その趣旨と理解してください。

そこで、私たち司法書士が受託者をお受けするためには、信託業法に抵触しない方法を検討しなければならないわけです。
もっとも、この点は私たち司法書士側の問題ですので、信託をご検討の皆さんで受託者の候補が見つからない場合、ご遠慮なくその旨をご相談ください。
ひとつひとつの現場の課題を克服するために知恵を絞るのも、実務家の大事な仕事ですから!  (中里)

シリーズ 信託の“肝”(3)

「誰に託すのか?」

基本は、ご家族の中の信頼できる方です。
配偶者やお子さんが一般的ですが、親族のどなたかや信頼のおける知人にお願いするケースもあり得ますね。

なお、受託者の年齢によっては、あらかじめ定めた信託期間終了の時期を迎える前に受託者が他界されてしまうことに備え、第2次受託者を定めておくのが通常です。

家族も親族も知人もいない場合、法律の専門家に受託者をお願いすることも考えられます。
この場合、注意しなければならない法律の規制があります。
詳しくは次回に。 (中里)

シリーズ 民事信託の“肝”(2)

前回は「信託の目的」について説明しました。
「何を守るのか?」「誰を守るのか?」が重要ですというお話でした。

次に大事なことは「誰に託すのか?」

託す先は、あなたの想い、すなわち「信託の目的」の実現を担う方となるわけですから、あなたの気持ちを理解できる信頼のおける方であることはもちろんのこと、遵法精神も求められます!
大切な資産を、長期にわたって信託の目的に遵って管理しなければならないからです。

次回以降、もっと詳しくご説明しますね。 (中里)

シリーズ 民事信託の“肝”(1)

このブログは、メンバーが交代で平日はアップしています。
内容はフリーなので、バラエティに富むというのか、雑然としているというのか・・・

せっかく信託の勉強をしているので、私の担当会では民事信託の“肝”を思いつくままにご紹介しようと思います。

最大の“肝”は「この仕組みでだれを守るのか」を明確にすること。
私は、そう考えます。

将来の生活に不安を抱えるお子さん、身寄りがなく老後を頼る人がいないご自身、東京オリンピックを目指して訓練に励むお孫さんかもしれませんね。

民事信託は確かに難しい制度ですが、皆さんに考えていただきたいのは「どんな信託にするのか」ではなく、「誰の生活を支えなければならないのか」ということです。
そこから先は、私たちの仕事です! (中里)