信託の説明文を眺めていると、次代、次々代まで見通した資産承継にも対応できるような解説をしばしば目にします。
このようなケースでは、受託者や受益者の死亡や判断能力の減退という事態に備え、第2次、第3次の定めを置いておくのが通常となります。このため、前回ご指摘したように、長期間にわたる関係者の生活環境の変化を見通したプランニングが極めて重要となります。
しかし、よく考えてみると、このような複雑な規定は、法的には何の問題がないとしても、本当に関係者の利益になるのでしょうか?
私の感想としては、委託者の希望をすべて叶えようとするあまり、委託者の独りよがり的な制度設計になっていないだろうかという懸念があります。
あまりに複雑な規定は、委託者の希望に沿う一方で関係者を長期にわたり拘束する結果となるとも忘れてはいけないと思うのです。
Simple is best! も、実は重要な視点だと考えます。 (中里)