こば紀行#93 海芝浦駅

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第93回目は海芝浦駅

今回は鉄道マニアの司法書士あらたま先生のリクエスト、首都圏でありながら駅から外に出られない秘境駅があるという。JR鶴見線は神奈川県横浜市鶴見区にある鶴見駅を起点に全長7㎞の本線と2つの支線からなる。京浜工業地帯のど真ん中を走るせいか、平日朝夕の通勤時間帯こそ本数は多いものの、それ以外の時間帯は1時間または2時間に1本、駅によっては日に3本しか走らない。そして、沿線は鶴見駅以外の全てが無人駅という、まさに都会のローカル線と呼ぶにふさわしいが、車両編成はここらを走る昼間の東海道線と同じ3両である。この鶴見線の支線の終着駅「海芝浦駅」が外に出られない駅である。

車窓からの風景は基本工場ばかりで、どこか富士市内を走る岳南鉄道に似ていて、都会でありながらどこかのどかな情景を感じることができる。休日車内の乗客層は鉄道マニアらしき人々ばかりで、おそらくあらたま先生もこのうちの一人であったのだろう。途中、浅野駅で海芝浦駅行きに乗り換え運河沿いの工場地帯を列車は進む。最後、大きくカーブをすると景色は一変、海と首都高湾岸線にかかる橋を眺めることができる。

駅から出られないとはどういうことなのか。。列車を降り改札口へと向かうと改札の向こうはそのまま東芝京浜事業所の入口へと繋がっている。この駅は東芝の工場敷地内、私有地であるため、東芝従業員・関係者でなければ改札をくぐり抜けることはできない。駅から出られない駅とはそういうことだったのだ。

とはいえ、物珍しさでやってくる鉄道マニア向けなのか、ホームの先には一般客でも出入りのできる「海芝公園」という小さな公園がある。ここの小さなベンチからは間近にある海だけでなく、はるか先の横浜ベイブリッジまで眺めることができ、都会の喧騒を離れ疲れた心を癒すには絶好の場だ。このスポットを推すあらたま先生がいかに病んでいたかがうかがい知れる(ご愁傷様!)。ただ、夕暮れ時の海と工場を背景にしたここからの景色は絶景らしく、関東の駅百選にも選定されている。病んでいるあなたもそうでない方も一度は行ってみる価値があるかも知れない。(こばやし)

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