「意思能力」の問題は、株式の信託も不動産の信託も一緒ですよ。

相談をお受けしていると「信託契約は、お元気なうちしかできませんよ」と申し上げるときがあります。相談者が成年後見制度と民事信託の違いを勘違いされているときです。

意思表示などの法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力を意思能力といいますが、意思能力がない中での契約は無効となります。つまり、そのような状況では、契約である民事信託の活用はできないことになります。

ご本人の判断能力(意思能力)の問題になってきたときには、選択肢としては成年後見制度の活用になります。

最近では、土地や建物の売却や賃貸物件の管理をお子さん等に託すために、お元気なうちに民事信託の活用を検討される方々が少しずつ増えてきている感じがしますが、一方で、そういう方々に、「会社の経営における議決権の行使や株式の譲渡も、同じ意思能力の問題ですよ」とお話しても、「会社の方は、そうなったら考えます」という方が多いことに法律に携わる者としての無力感を感じるときがあります。

特に、身内以外の株主がほとんどいない中小企業の経営者の方々にとっては、会社の中での意思能力の問題は、あまりピンときていないようです。

会社経営こそ、成年後見人では代わることができない意思決定の連続なのですがね。

中小企業のリスク管理にもっと積極的に関わっていく必要性を感じています。(名波)

2018年11月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust