信託の基礎

次に、信託の要件について話します。信託は財産を受託者に託する財産管理方法を定めたものですから、

①「一定の財産が存在し、それが受託者に帰属すること」

が要件となります。

それから、委託者は何らかの目的で受託者に託するわけですから、

②「信託の目的が定められていること」

も必要です。そして

③「受託者は、信託の目的に従って、信託財産につき、管理・処分など、その目的の達成に必要な行為をする義務を負うこと」

が信託の要件となります。

このように信託の要件を定めた理由は、「固有財産」と明確に区別するためです。例えば、受託者が賃貸マンションを固有財産として所有しているとします。賃貸マンションから得られる賃貸収入は、修繕費用として積み立ててよいし、別の資産(株など)の購入資金に充ててもよいし、遊興費として散財しても問題ありません。なぜなら、「自分のため」に固有財産を所有しているからです。しかし、賃貸マンションが信託財産であれば話は違います。例えば、障害を抱えた子の施設利用料の支払いために賃料収入を充ててほしいという目的があれば、いくら受託者が信託財産を所有していても、遊興費などに費消する、なんてことは当然できません。これは、受託者が「他人のため」に信託財産を所有しているからなんです。このことは、信託法2条1項に規定されてます。「他人のため」に信託財産を所有していることは、信託契約の「信託の目的」に記載される条項ともなります。

したがって、もっぱら受託者の利益を図る目的でなされた信託は、「他人のため」に信託財産を所有しているとは言えませんから、「信託の目的」を失ってます。つまり、信託が有効に成立していないということになります。

一般に信託の目的は、

①受託者が信託事務を行う上での指針となり、その権限の外延を画する機能を有する

と言われています。実は、もう一つの役割として、「自分(受託者)のため」の信託は信託ではないということから、

②信託の存続可能性を判断する基準も併せ持っている

ということを確認しておいてください。(小出)

2018年7月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#66 甲州さくらんぼ狩り

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第66回目は甲州さくらんぼ狩り

さくらんぼ狩りのシーズンは6月上旬~下旬、場所によっては5月末から7月上旬くらいまでやっているところもある。今回訪れたのは山梨県甲州市にある農園だ。朝7時前に浜松駅を出発、静岡駅でワイドビューふじかわに乗り換え、甲府駅からさらに東へ7駅行く。もちろん車で行くことも可能だが、「休日乗り放題きっぷ」を利用すれば浜松~甲府間は1日2,670円(特急券は別)で往復できる。

くらんぼ狩りは食べ放題40分2,000円、佐藤錦、紅秀峰、高砂等の品種の食べ比べができ、事前予約が必要なところが多い。他のフルーツ狩りが割と時間にルーズなのに対し、今回は時間になると名前が呼ばれるほど時間管理されている。その分、品質管理も徹底されているということなのだろう。木の枝についているさくらんぼの実を取るあたり、いかにもフルーツ狩りという感じがして良いのだが、より甘い実を求めようと思うと梯子を伝い高い所まで上る必要があり、あまり小さな子供がいる家族向きではない気がする。

上記のようにさくらんぼ狩りだけではあっという間に終わってしまうため、続けて隣駅の「勝沼ぶどう郷」まで足を伸ばす。ここは国内でも屈指のぶどうの産地で、ブドウ農園やワイナリーが至るところにある。駅を降りてすぐ向かいの丘の上に「ぶどうの丘」と呼ばれる複合施設があり、食事や買い物を楽しめるほか、180銘柄のワインを試飲できる。もっとも、私の場合、4銘柄も試飲しないうちにできあがっている。

少し酔いを覚ますべく、周辺を散策することとなった。ちょうど散策マップ的なものがあったので、それを片手に歩き出す。もっとも目を惹いたのが「大日影トンネル遊歩道」で、明治36年に開通した中央本線の当時の鉄道トンネル内を歩けるというもの。駅を起点に1周歩くと約2時間にもなるコースだが、ただ鉄道トンネル内を歩きたい一心で、坂を登ったり下りたり、ゼーゼー言いながら歩き続ける。ワインでほろ酔い気分なのはすっかり遠い昔のことのようだ。

1時間半以上は歩いただろうか、ようやくお目当ての大日影トンネルらしきものが見えてきた!テンションが上がる。が、そこで目にしたものは…

←閉まっとる(゚Д゚)

この時は、到着時間が遅かった(夕方5時頃)せいだと思っていたのだが、帰ってしばらくして散策マップに目を遣ると「一時閉鎖中」の文字があるのに気付く。そもそも最初から無理筋だったのだ。

失意の中、駅への近道もなく、もと来た道を1時間半かけて引き返す。その足取りは来たとき以上に重い。救いなのは、こんな散々な紀行に付き合ってくれる同行者の存在と、甲府盆地ののどかな風景、あたり一面に広がるブドウ畑が私の心を癒やしてくれること。今はまだ、ほんの小さなブドウの実、この実が大きくなり熟す頃、また来られたらと息切れしながら願う。(こばやし)

 

2018年7月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の目的

民事信託の契約を締結する際、必ず「信託の目的」を決めます。

 

この「信託の目的」は、信託をなぜ、何のために、誰のためにするのかを設定するもので、信託契約締結後、受託者が委託者の財産をどのように管理するか、処分するのかの行動指針になる非常に大切な要素です。

 

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・自分が家族のように大切にしているペットの管理、生活の保護

・自分の老後の財産管理

・後継者への円滑な事業承継のため

・障害のある子の生涯にわたる生活支援、財産管理

 

しかし、最近になり、信託をやりたい方(といっても財産を所有している方(委託者となる方)ではなく、家族の財産を管理したい方(受託者になりたい方))がご相談にお見えになり、

「信託の目的は特にないが、家族が認知症になって財産が自由に処分できなくなったら困るから信託したい」

と言われることがあります。

 

信託後の財産の使い道を詳しく聞いてみると、

・本人(財産を所有している方)の生活費、介護費、医療費

・自分(受託者になりたい方)の住宅資金

・孫の教育資金に充てるかもしれない

・とにかく何が起こるか分からないから何でも使えるようにしたい

と言われ、要は自分(受託者)の自由な判断で、家族の財産を自由に処分できるようにしたいという希望でした。

 

しかし、民事信託は、委託者の財産を受託者の方に丸投げするものではありません。

委託者は、自分の希望や方針及び権限をきちんと決めた上で受託者に財産を託し、受託者は、その委託者の希望や方針に反しない限り、柔軟な財産管理・積極的な資産の有効活用を実行できます。

 

受託者は、委託者の財産をあくまでも委託者の希望に反しない範囲内で自由に管理処分することしかできませんが、どうも「民事信託すれば家族の財産の財産を何でも自由にできる」と思われている方が増えているように思います。

2018年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(10)

引き続き、信託業務について司法書士が「信託財産の●%を報酬とする」というような成功報酬制を採用することの妥当性について検討します。

信託契約締結後の「継続的なフォロー」や「コンサルティング」という用語でくくられた、司法書士が実際に提供する業務の中身を検証する必要があるというのが前回の指摘でした。「フォロー」なり「コンサルティング」なりが、受託者を司法書士のコントロール下に置くような外観を作出していたとすれば、信託業法脱法の疑いもあるというのが前回のまとめでした。

しかし、信託契約締結に関連する事務作業がひと段落した時点、つまり受託者としての日常の受託業務が回り始めた以降は、司法書士が受託者の相談に応じたり、あるいは信託財産全般のコンサルティング(もっとも、「コンサルティング」の実態が何なのかは未だ明らかではありませんが)をしなければならないニーズがどれだけあるのかは疑問です。

受託者の業務遂行が適正か否かを監督する必要があるならば、あらかじめ信託契約の中で信託監督人の定めを置き、その報酬に関する規定も設けられるはずです。逆に信託監督人の定めがないのであれば、委託者は「受託者の監督」という機能を求めていないと判断できます。受託者自身が「自分の業務遂行に不安がある」ということで司法書士に相談するということは考えられますが、この場合の相談料が信託財産から支出されるのはおかしいですよね。受託者が自身で相談を求めたわけですから、信託財産からではなく、受託者の固有財産から支払われなければなりません。
また、この手の受託者からの相談は、信託契約締結後の個別事情に起因する相談であり、契約締結前にこのような相談が定期的かつ継続的に発生するという事態は想定されていないはずです(仮に想定していたとするならば、それこそ信託監督人の定めをしておくべき事案でしょう)。この際の金額は、各事務所の報酬規程が「相談業務」をいくらとしているのかによりますが、通常は、1時間あたり数千円~1万円程度という価格設定をしているケースが多いように感じます。この点は、各事務所の報酬規程を確認する必要がありますが、単発的相談の積み重ねの対価が「信託財産の●%」というのは、私は均衡性に欠くように感じます。   (中里)

 

2018年7月10日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

条解信託法を購入!

前回、民事信託の活用は、ゴールから考えるという記事を書かせていただいたのですが、

清算受託者のやるべきことなどが、通常の解説本では今一つ分からないところがあったので、思い切って(少々お高いです)、信託法の注釈書である「条解信託法」(弘文堂)を購入させていただきました。

信託法は、条文を読むだけでも比較的分かりやすく書かれているのですが、条文の趣旨や言葉の定義をより正確に把握するには、条文一つ一つについて詳細に書いてあるものが必要となります。

本書を購入後、早速、清算受託者の職務の終了等を規定する第184条について調べてみました。なるほど。やはり、通常の解説本より正確にイメージすることができました。

ただ、未だにスッキリしないところもあるのです。もしかしたら、それは日本語の「及び」の解釈の問題なので、当たり前すぎて注釈本でも解決できないことかもしれません。

もう少し悩んでみるつもりです。(ななみ)

2018年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託に相応しい案件の考察(3)

本人が所有している不動産は,比較的築が浅く,そんなに大規模な修繕が予定されていない。

本人は売却することを希望していない。あるいは売却してその現金で,今と違うところに投資物件を所有して欲しいという希望もない。

そうすると,不動産については,基本的には現状維持ができれば差し支えないことになってしまう。

この案件では,積極的な運用ということがキーワードになった。

何でも信託にすればよいというものではなく,事案によっては,信託でなくても対応できる。

(この事案終結。新事件に続く)

文責:本木敦

2018年7月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

まず、信託とは何かについて話します。

信託とは、原則として3人の登場人物で構成されています(上図)。この3人の役割を説明すると、委託者は信託のために財産を出演します。その財産を受託者が管理・運用・処分をします。そして、受託者の管理・運用・処分によって得られた利益を受益者が享受します。これが、信託の基本形です。

ここで財産について確認します。委託者から受託者に託された財産を「信託財産」と言いますが、この信託財産の権利帰属主体、もう少し平たく申し上げると、信託財産の所有権は委託者から受託者に移ります。これが信託の大きな特徴です。

そうなると、信託を設定した時点で、受託者は2種類の財産を所有することになります(図2)。1つは、信託によって委託者から移転してきた信託財産、もう1つは、信託以前から自らが所有していた財産(これを「固有財産」といいます)です。

図2

では、受託者はこの2種類の財産について、どのように扱っていけばよいのでしょうか?固有財産については、所有者である受託者が自由にその所有物の使用、収益及び処分することができます(民206)。しかし、信託財産は違います。もともとは委託者が所有していた財産を何らかの目的で受託者に移転したわけです。この目的を、信託法では「信託の目的」と言います。つまり、受託者が信託財産を管理・運用・処分するのは、「信託の目的」を達成するためなのです。受託者は、「信託の目的」を達成するための「義務」を負って信託財産を所有しているのです。

以上のように、受託者は2種類の財産を所有していますが、その取り扱い方が全く異なります。「固有財産」は原則「自由」であるの対して、「信託財産」は「義務」を負うということです。(小出)

 

こば紀行#65 大井川鉄道⑥~尾盛駅

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第62回目は大井川鐵道編最終回、尾盛駅

尾盛駅は大井川鉄道(通称だいてつ)一の秘境駅だ。8両編成の列車に、ほぼ満席の客を乗せて通過する時点で果たして秘境駅と言えるかは微妙だが、周囲には何もないこの駅で、ただ一人降りる私を乗客達は物珍しげに見ていき、中には手を振ってる人までいる。「見せもんじゃねーぞ!」心の中でそうつぶやきながら、ひきつった笑顔で手を振り返す。

周辺には当然、民家などはなく、駅に通じる公道さえない。徒歩か鉄道でしかこの駅へは到達できないという点で、以前ご紹介した小和田駅に通じるものがある。ここも、かつてはダム建設関係者のために周辺に多数の宿舎や小学校もあったそうだが、今はその名残と覚しき廃墟しかない。真の空き屋問題とはこのことなんだろうが、私にはこの光景を目の当たりにしたところで何もできない…次の列車が来るまで1時間、ただただ静かな時間が流れる。

散策にも飽きて駅前に戻ると、鉄道関係者用の保線小屋の扉が開くことに気付く。5、6年前、この付近に熊が出没したらしく、それ以来、避難用に解放されているようだ。中には関係者が仮眠できるように畳敷きの座敷やさびれた暖房器具、やかんなどが置かれている。ここを訪れた人が、記念に書き綴る「思い出ノート」的なものもあるが、それ以上に目を張るのがデスクの上に無造作に置かれた雑誌群だ。

 

こうして並べてみると、何やらいかがわしいサイトのようで、迂闊にクリックしたら怪しいページに飛んでいきそうだが、ご安心あれ、ここはこば紀行だ。いずれも平成2~5年頃の巻頭表紙、皆さんは何人お分かりだろうか。左から、和久井映見、中村あずさ、工藤夕貴、有森也実…右は不倫直前?の聖子。当時、「東京ラブストーリー」に夢中の高校生こばやしは、保奈美(リカ)派ではなく、断然この也実(さとみ)派だった。ちなみに高校生こばやしは、この頃ブレイクし始めた左の方に似てると言われていた。今思えば大変光栄なことだが、織田裕二みたいになりたかった思春期男子としてはあまりに心外で、以来クラスメートには心を閉ざした。黒歴史である。

誰もいない秘境駅、ただひとり、平成の始まりを振り返る時間…それは自分自身を見つめ直す時間でもある。平成も終わろうとしている今、皆さんもこの秘境で自分自身を振り返ってみてはいかがだろうか。(大井川鐵道編、完)

 

 

 

2018年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託と借入れ(金融機関)

先日、民事信託を利用中の方(受託者)の方からお電話をいただきました。

 

その方は、受託者として管理しているアパートが古くなり修繕が必要なので、金融機関から修繕費用を借りようとしたそうです。

しかし、色々な金融機関に相談してみたものの、なかなか『民事信託』を理解し、民事信託に合わせた借入ができる(受託者として借入ができる)金融機関がなく、途方に暮れてしまったそうです。

 

色々な金融機関により色々なことを言われたそうで、

・委託者の方を連帯保証人にしないとダメだと言われた

・委託者の方自身が借りないとだめだと言われた

・受託者の方だけでは借入手続きができないので、委託者の方も連れてきてほしいと言われた

・民事信託が分からない(取り扱いがない)ので、受付できない

上記のようなことを言われて困り果ててしまったそうです。

 

近年民事信託が話題となり、少しずつ金融機関の取り扱いも変わってきているのですが、

まだまだ対応してくれるところが少ない(又は取り扱いがはっきりしていない)のが実情です。

 

また、一般の個人の方が修繕費やアパートを経営するための運転資金を借りたい場合、金融機関が個人の方にそういった資金を融資する商品を用意していない場合があります。

 

(金融機関としては、運転資金は中小企業向けのものはありますが、個人向けのものはないことが多いです)

 

通常、金融機関が個人の方向けの商品として用意しているのは、

・カードローン

・車、教育ローン

・住宅ローン

・アパートローン

などが一般的です。

その中のアパートローンというのも、建築地の購入やアパートの新築資金、他の金融機関からの借換のための融資のことで、修繕費や納税資金などは対応していません。

 

ご連絡いただいた受託者は、金融機関から融資を受けなくても何とかなったそうなのですが、

色々な状況が起こりうるのだと実感しました。

 

 

 

 

2018年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(9)

【前回の整理】
司法書士が信託関係の受任をするパターンは、主に以下の四つだが、いずれも「個別受任事案」に該当するため、成功報酬制は採用できない。
(1)登記申請のみ
(2)契約書の作成+(不動産があれば)登記申請【信託の内容は当事者らで決定済み】
(3)契約書の作成+(不動産があれば)登記申請【信託を希望しているが内容は未決定】
(4)契約書の作成+(不動産があれば)登記申請【単に「相談がある」というパターン】

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この結論部分に対しては「司法書士は、単に信託契約や登記申請をするのではなく、信託契約締結後の継続的なフォローについて支援します」とか「信託に関する包括的なコンサルティングをします」等の説明によって成功報酬制(例・信託財産の●%を司法書士報酬とする)を採用するケースも散見されます。

ここでは、特に司法書士に信託業務を依頼しようとする方の視点に立ち、冷静に依頼した業務の中身を検討する必要があるでしょう。
つまり「継続的なフォロー」や「コンサルティング」という言葉が意味する業務の中身が何か? という問題ですね。

「継続的なフォロー」となると、信託契約締結後の受託者の信託事務遂行に関する相談に応じたり、必要な書類を作成したりすることが想定できます。これらの事務は、信託契約において信託監督人なり信託事務処理代行者なりの定めをし、司法書士がその地位に就任して業務を担うケースが考えられます。この場合の報酬は、信託契約に定めを置くのが通常です。
このシリーズの冒頭で断ったように、このブログで検討する報酬は「プランニングや契約書作成のための費用、不動産登記申請のための費用など、司法書士が民事信託に関わる際に発生する報酬」を指しますので、信託監督人等の報酬は契約書の定めに委ねておきます。

信託監督人等の定めが契約書にない場合に、司法書士が受託者からこれらの相談に応じる場合、その報酬の出所が問題になるでしょう。信託契約書に定めがないということは、委託者は信託財産から司法書士報酬の支払いをすることを想定していないとも考えられますので、特段の事情がない限り、受託者が固有財産(信託財産ではなく、受託者個人の財産)から拠出すべきでしょう。
また「受託者の相談に応じる」という説明をしながら、実質的に受託者が司法書士にコントロールされているということはないでしょうか? この場合は、別の問題が生じます。
つまり、委託者は「この人に託そう」と考えて受託者を選定したはずなのに、その実質は受託者ではない司法書士のコントロール下に置かれているということになれば、委託者の意思に反することになりますね。また、司法書士が受託者と同視できるような外観が作出された場合「業として受託者となるためには信託業法による登録が必要」という信託業法の脱法的行為と評価される危険もあり、この点には十分な注意が必要になると考えます。   (中里)

2018年7月2日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust