こば紀行#65 大井川鉄道⑥~尾盛駅

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第62回目は大井川鐵道編最終回、尾盛駅

尾盛駅は大井川鉄道(通称だいてつ)一の秘境駅だ。8両編成の列車に、ほぼ満席の客を乗せて通過する時点で果たして秘境駅と言えるかは微妙だが、周囲には何もないこの駅で、ただ一人降りる私を乗客達は物珍しげに見ていき、中には手を振ってる人までいる。「見せもんじゃねーぞ!」心の中でそうつぶやきながら、ひきつった笑顔で手を振り返す。

周辺には当然、民家などはなく、駅に通じる公道さえない。徒歩か鉄道でしかこの駅へは到達できないという点で、以前ご紹介した小和田駅に通じるものがある。ここも、かつてはダム建設関係者のために周辺に多数の宿舎や小学校もあったそうだが、今はその名残と覚しき廃墟しかない。真の空き屋問題とはこのことなんだろうが、私にはこの光景を目の当たりにしたところで何もできない…次の列車が来るまで1時間、ただただ静かな時間が流れる。

散策にも飽きて駅前に戻ると、鉄道関係者用の保線小屋の扉が開くことに気付く。5、6年前、この付近に熊が出没したらしく、それ以来、避難用に解放されているようだ。中には関係者が仮眠できるように畳敷きの座敷やさびれた暖房器具、やかんなどが置かれている。ここを訪れた人が、記念に書き綴る「思い出ノート」的なものもあるが、それ以上に目を張るのがデスクの上に無造作に置かれた雑誌群だ。

 

こうして並べてみると、何やらいかがわしいサイトのようで、迂闊にクリックしたら怪しいページに飛んでいきそうだが、ご安心あれ、ここはこば紀行だ。いずれも平成2~5年頃の巻頭表紙、皆さんは何人お分かりだろうか。左から、和久井映見、中村あずさ、工藤夕貴、有森也実…右は不倫直前?の聖子。当時、「東京ラブストーリー」に夢中の高校生こばやしは、保奈美(リカ)派ではなく、断然この也実(さとみ)派だった。ちなみに高校生こばやしは、この頃ブレイクし始めた左の方に似てると言われていた。今思えば大変光栄なことだが、織田裕二みたいになりたかった思春期男子としてはあまりに心外で、以来クラスメートには心を閉ざした。黒歴史である。

誰もいない秘境駅、ただひとり、平成の始まりを振り返る時間…それは自分自身を見つめ直す時間でもある。平成も終わろうとしている今、皆さんもこの秘境で自分自身を振り返ってみてはいかがだろうか。(大井川鐵道編、完)

 

 

 

2018年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust