民事信託の場合、親の財産を子供が受託し管理するというケースが多いと思いますが、親と子で信託契約を締結にするに前に、ご家族全員で家族会議をすることをお勧めいたします。
成年後見の申立てでも、子供が後見人の候補者になる場合、他の推定相続人の同意書を添付していますが、財産管理という機能においては民事信託も成年後見と同様に考えた方がいいと思います。
確かに、民事信託の場合は、必ずしも同意書の添付は必要ありませんが、受託者が他の家族から責められることがないように配慮することも必要であると思います。
また、民事信託は遺言の機能も有していますので、相続時のトラブル防止という観点からも、家族全員で契約内容を共有しておいた方がいいと思います。
実際、民事信託は、制度そのものがまだ周知されていません。後日、民事信託の契約の存在を他の家族が知ることとなるとトラブルの元となる可能性があります。他の家族に黙って、こっそりと信託の組成をするよりも、家族会議を開催して家族全員で信託の内容について把握をしておいた方がいいと思います。
なによりも、家族会議を開催すると、資産の背景にある家族の歴史や家族の想いをみんなで共有できます。トラブル防止の観点だけでなく、家族の絆を深めるためにも、民事信託の組成をする際には、家族会議を開催してみてください。(ななみ)