このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。
第68回目は藤枝朝ラーメン
サッカーの街、藤枝。しかし、ここはそれ以上にラーメンの街である。7、8年前にテレビで取り上げられるようになって以来、全国的にも有名となった朝ラーメン、発祥は1919年と100年近い歴史を持つ。その発祥と言われる店が今回訪れた「マルナカ」、藤枝の中心街からは少し離れた、旧東海道沿いにある。
藤枝はお茶の産地としても有名で、お茶の取引は午前3時~4時頃からはじまり早朝6時過ぎには終わる。そのお茶関係の仕事をする人達が、早朝の作業を終えたあとに食べられるよう、開店時間が徐々に早まっていたものだそうだ。朝ラーメンを提供する店舗は市内に15店舗ほど、朝7時、8時頃から開店し、なかには昼前に終わってしまうところもある(藤枝朝ラー文化軒究会調べ)。まさに、この地域の産業とも絡んだ、独自の文化と言えよう。
味は、魚介ベースの醤油だれをあっさりしたスープで割ったもの。麺は中太でコシがあるというよりはツルツルと食べやすい感じ、藤枝・焼津・島田地域独特のもので「志太系ラーメン」とも呼ばれている。私見だが、スープは少し甘めの蕎麦つゆに近く、麺の喉越しは太いそうめんを食べているイメージ、チャーシューは脂身が少なくあっさりしている。いかにも朝でもスッキリ食べられてしまう味と喉越しなのだが、驚くべきは、客の半数は熱いラーメンと冷たいラーメンの両方を食べていることだ。
冷たい麺は夏のみならず、1年中提供していて、麺はほぼ同じだと思うが、スープは普通のラーメンよりもさらに甘く、ワサビを溶きながら食べる。まず「温」たかい麺(写真左)から、その後におかわりで「冷」たい麺(右)を食べるのが風習のようだ。店によっては「セットで」と頼むと、それだけで「温」と「冷」2つのラーメンが出てくる。そして、このラーメン目当てに朝から行列ができている。すごい街だし、文化だと思う。(こばやし)