このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。
第58回目は大井川鐵道編第2弾、アプトいちしろ~奥大井湖上
「アプトいちしろ駅」にてアプト式機関車を連結する。車内アナウンスによると、この1つ先「長島ダム駅」までは1,000Mあたり90M上る急勾配だとのことだ。正直この数字を言われてもピンと来ないし、乗っていてもよく分からない。が、次の駅で後ろを振り返ると確かに上った感はある。しかも、列車は8両編成と、そこら辺を走る東海道線よりも長いため、さぞ大変な労力だったろうと察する。役目を果たしたアプト式機関車は「長島ダム駅」にて切り離される。ちなみに連結も切り離しも最後は手作業だ。職人である。
そして、列車はいよいよ「奥大井湖上駅」へ。ここも秘境駅とされていて、確かに無人駅で周囲に民家もないものの、降りる観光客はずいぶん多い。数年前にテレビで取り上げられたことをきっかけに、恋が叶う「奥大井恋錠(こじょう)駅」として売出し中のようである。恋錠と湖上、随分無理がある…駅敷地内にはHAPPY BELLなるものまで設置されているが、秘境では静かに佇むのが礼儀だと思うし、そもそもおっさん1人では恥ずかしくて鳴らせやない。
この駅は、もともとは井川線の一部が長島ダム建設によりダム湖に沈むことから、現在の新線に移設された際、新駅として開業(1990年)したものだそう。ダム湖の真ん中に半島上に突き出た陸地の端に位置し、前後を2本の鉄橋で結んでいる。この鉄橋を渡り対岸に行くことができるが、高所恐怖症の人だと辛い道のりかも知れない。ここから接岨峡温泉までが一つのハイキングコースとしてある。徒歩でおよそ30分程度だ。
ハイキングコースの途中に写真撮影スポットがあり、雑誌やネットでよく見かける例のあの風景(↓)が拝めるようになっている。どんな下手くそでもそれっぽく撮影できる、素敵な場所だ。その先、接岨峡温泉へと続く道の途上に八橋小道なるものがある。その名のとおり8つの橋を渡るものでなかなか風情がある。せっかくなんでこちらから歩いて行くのも悪くない、時間と心にゆとりがあれば…8つ目の橋を渡り終えると、そこは秘境温泉だ。(つづく)