遺言を作成する場合や民事信託をする場合など、財産について考えたり、話し合いをする場合、他の関係者とどのように話をするのかは、とても重要です。
そもそも、相続は相続人全員で話し合いの上、合意することが必要ですが、『遺言』や『民事信託』は、他の関係者に話をしなくても、当事者間のみで手続きをすることが可能です。
しかし、他の関係者に全く話をしていない場合で、後日になって遺言の内容や民事信託の事実が他の関係者に伝わると、不信感を抱かれ、トラブルの原因になることが多いです。
例えば、『長男に相続させる』や『長男を受託者として財産を管理させる』旨を遺言書や信託契約書に記載した場合、他の関係者(二男や長女などの他の家族)が、
『長男が上手く丸め込んで自分に有利な遺言書を書かせた』
『司法書士と結託し、勝手に長男が財産を管理するように手を回した』
と感じることが多いようで、これがこじれると法廷闘争になったり、親族関係に深刻な傷が残ることも少なくありません。
事前にご本人から『こういう趣旨で長男に残そうと思う』『こういう理由で長男に任せたいと思っているので、承知してほしい』と一言あれば、当事者の気持ちや事情が分かるので対応が違ってくるのですが、ある日突然知らされると、態度が硬化することが多いです。
財産の問題は、当事者や関係者の感情に配慮しながら進めることが大切です。