本日、相続でお困りになっている方のご相談をお伺いしました。
依頼者Aさんは、最近お母様を亡くされました。
お母様は不動産や預貯金をお持ちだったので、相続手続きをしたいそうなのですが、
相続人の一人であるBさん(Aさんの兄弟)と連絡がとれず、お話し合いができずに困っている、とのことでした。
Bさんは、遡ること数十年前、様々な事情により家出をしてしまい、ずっと連絡が取れない状態が続いているそうで、Bさんが今どこで何をしているのか、よく分からないそうです。
ただ、近所の方やBさんをご存知の方からの目撃情報から、どうやらBさんが市内に住んでいるらしいことは分かっているそうですが、Aさんからの電話に全く出ず、住んでいるところも分からないので会いに行くこともできない、という状態だそうです。
相続人が行方不明の場合、裁判所に申し立てをして「不在者財産管理人」という管理人を選任し、相続手続きを進めることができます。
しかし、Bさんの場合、BさんがAさんを拒絶しているだけで、『行方不明』とは言えない状態のため、この制度では対応できず、何とか話し合いをつけるしかありません。
話し合いが難しい場合、調停や裁判などの手続きにより解決する方法があるのですが、その場合、時間も費用もかかります。
結局、まずは色々な手段でBさんに接触を図って、何とか話し合いに応じてもらうようにしていくことから始めることになりました。
相続の相談で、『財産の分配で揉めている』『相続人が沢山いて大変』『知らない相続人が出てきた』などは比較的よく聞く話ですが、近親者と話し合いすらできない、というのは中々ないので驚きました。
つくづく、相続という事案が、家族関係や当事者の価値観や歩んできた人生が大きく係るものなのだな、と実感しました。