(清算受託者および帰属権利者)
第16条
【再掲】
3 信託終了時の際の残余の信託財産の帰属先 は、■■■■とし、信託終了時に■■■■がすでに死亡している場合は、■■■■(住所・静岡県浜松市・・・)とする。
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残余財産の帰属先を指定しておくことは、遺言と同様の効果があることをご指摘しました。とはいっても、遺言そのものではありませんので「全文・日付・氏名を自書しなければならない」というような、遺言の要式面での規制は受けません。
検討しなければならない最大の問題は、遺留分です。
遺留分とは「遺言がある場合でも最低限確保することができる遺産」とイメージしてください。
たとえば、他界した父親Xの相続人が子A・子Bだけのケース。
Xは生前に「すべてAに相続させる」とする遺言を遺していました。
この場合、Bは遺言では何の遺産も承継できないこととなります。それが故人Xの意思ですから「やむを得ない」と言えばそれまでですが、同じ子供であるA・B間での不公平感は著しいことになりますね。
そこで法律では、相続人に「遺言があっても最低限確保できる権利」を認めており、この場合のBは全遺産の25%に相当する分を、遺言によって全遺産を相続することになるAに対して請求できることとなるのです。
この遺留分の考え方が、信託の場合にも適用されると解釈されているのです。
したがって、残余財産の帰属先を指定する場合には、遺留分を考慮した指定方法を検討しておくか、あるいは遺留分の請求を受けた場合の対応方法をあらかじめ協議しておく等の準備が不可欠となるわけです。 (中里)