信託関係の登記で悩んでいる案件

あるお客様から所有権移転及び信託の登記がされている建物を,買い取りたいという相談を受けた。

よく話を聞けば,受託者が当該建物を買い取るのだという。利益相反とはなるものの管轄法務局とも打ち合わせて,当該買い取りに伴う登記の準備を進めていた。ところが,その買い取り代金については,金融機関の融資を受けるのだという。そうすると当該建物の土地も担保に入ることになる。お客様から,以前,土地は「私(個人)」のものですし,今回は関係ありません。と聞いていたので,金融機関から根抵当権の設定の契約書をチェックして下さいと言われるまで土地の登記については確認していなかった。

根抵当権の設定の契約書のチェックのために初めて土地の登記の情報を見て驚いた。土地は建物と同じ受託者の名義となっていたのである。

そうすると,建物の買い取りに伴い,建物は所有者であり,土地は受託者の名義となる。しかも,建物の所有者を債務者とする根抵当権の設定の登記を申請することになる。

信託目録は・・・「受託者は借入をすることができる。当該借入のために担保に供することができる」と記録されている。

では,受託者ではない者の借入のために担保に供することができるのか。

この案件は管轄法務局に照会を出している。

(文責 本木敦)