今回は自筆証書遺言の短所についてお話します。
まず1つ目は、方式不備で無効とされる危険性が高いという点です。例えば、今日、遺言書を作成するとなると、日付の記載は「平成29年12月27日」となります。ここで日付を「平成29年12月吉日」としてしまうと、遺言そのものが無効となってしまいます。せっかく遺言を遺しても、その想いが実現されないことになってしまうのです。
2つ目として偽造・変造がされやすいということが指摘されています。前回、自筆証書遺言の長所として、誰にも知られずに作成できるということを申しました。しかし、誰にも知られずに作成できるのならば、誰にも知られずに偽造をすることもできると言えます。これでは、いったい何のために遺言を作成したのかということになりかねません。
このような短所に対する対策としては、保管場所を考える必要があると思います。保管場所を選ぶポイントですが、私は2点あると考えます。
1点目は確実に安全な場所です。これは、偽造、変造を防止するためです。
2点目は発見されやすい場所に保管する必要があります。なぜなら、遺言の内容を実現してもらうためには相続人に遺言書を読んでいただく必要があるからです。
確実に安全で、発見されやすい場所と言われるとなかなか難しいかもしれません。家の中ですと権利証など重要書類を保管しているところがいいかもしれません。あと、金融機関に貸金庫というものがありますので、利用を検討することもいいかもしれません。(つづく)