第16条 清算受託者および権利帰属者①

(清算受託者および帰属権利者)
第16条 信託終了時以後の清算受託者には、信託終了時の受託者を指定する。
2 第6条に規定により信託が終了したときは、清算受託者は、法令の規定に従い現務を終了して清算手続きを行い、信託財産について次項に記載する帰属権利者に引き渡さなければならない。
3  【続く】

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受託者は信託財産の管理人的な性格を有しているため、信託が終了すると、債権債務の清算をしたうえで残余財産をあらかじめ指定された(指定がない場合は信託法の規定による)帰属権利者へ引き渡すことで任務が終了することになります。

会社が解散した場合に清算人が選任され、清算業務と残余財産分配の完了によって法人格が消滅するのと同じイメージです。

清算受託者の仕事は、信託の後始末といったところでしょうか。  (中里)

民事信託は魔法ではない。

最近、民事信託に関するご相談をお受けすることが以前に比べて多くなってきている。

ただ、その内容が、「こんなことできますか?あんなことできますか?」が多い。しかも、どちらかというと受託者候補者側から。

民事信託は、理論上は、様々な設計が可能である。でも、実務上は、税法や遺留分等の課題、成年後見制度とのバランスの問題等、やられるけど、やるべきではないことが多く存在する。

特に、巷のセミナーなどで強調される「成年後見制度を活用しなくて済みますよ」は、明らかに、制度の趣旨を捻じ曲げていると感じることがある。

普及の兆しが見えてきているいまだからこそ、民事信託制度の趣旨に遡って、活用方法を捉えていく必要があると思う。(ななみ)