依頼者のために

先日、相続人から登記のご依頼をいただきました。

 

遺言書がありましたので、遺言書に記載されている通りに登記を行いました。

その後、相続税に関するお話がありましたが、税に関する相談を司法書士は法律によってお受けすることはできませんので、ご近所話程度の会話でお付き合いしていました。

 

不動産はご自宅だけなのですが自宅の敷地が割と広く、金融資産もそこそこありました。相続税は基礎控除額というものがあって、比較的資産が裕福な方を対象として課税されます。反対に資産を所有していない方は相続税の対象ではないため、そのような方々は、相続が発生しても相続税を申告しない場合が多く、実務上も問題ないケースがほとんどです。

 

しかし、この方の話を伺っていると非常に微妙なラインではないかと思えてきました。もし、この方が相続税の対象であるにもかかわらず申告をしなかった場合、「無申告加算税」ほか、様々なペナルティが課されて大きな痛手となってしまいます。逆に申告をすれば、様々な減税制度(例えば、「小規模宅地等の特例」)の利用ができます。

 

私は「念のため、税理士の先生にいろいろご相談された方がよろしいですよ。」と勧めました。

 

しばらくして、事務所に来られたのでご用件を伺うと、先日、税理士の先生から、相続税の申告をしなければいけないケースだったらしく、そのお礼を述べにわざわざ来てくださったようです。

 

専門家として依頼された仕事をこなすだけでなく、周辺にも気を配ることが本当の意味で依頼者のための仕事と実感した出来事でした。(小出)