第9条 信託不動産の管理および処分

(信託不動産の管理運用および処分)
第9条 受託者は、信託不動産につき、受託者が相当と認める方法により受益者らの生涯の生活の本拠地として使用させるものとする。
2 受託者は、受益者が確定的に信託不動産に居住しない状況に至ったときまたはやむを得ぬ事情により管理が困難な状況に至ったときは、これを処分できるものとする。

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本条は、信託不動産が居住用財産のみの場合を想定しています。
お子さんがご自宅で生活できるうち、あるいは施設への入退所を繰り返しつつもご自宅に戻る可能性があるうちは、受託者による売却は認めないことを原則としつつ、お子さんがご自宅に戻る可能性が確定的になくなった場合や、建物の老朽化により修繕に多大な費用が生ずるなど、解体・売却をずべきやむを得ない事情が生じた場合には、例外的に受託者による売却を認めています。
やむを得ない事情には、居住用不動産を売却しなければ受益者であるお子さんの生活費が回らないというような事情も含まれると考えています。

成年後見制度の場合、居住用財産を売却するためには裁判所から売却のための許可を得る必要があります。売却の目的や理由、売買代金などの合理性を判断したうえで許可すべきか否かが検討されるわけですが、信託の場合も、受益者の生涯の生活の拠点である居住用財産はできる限り売却しない方向での制約を受託者に課すべき、との考え方によります。

なお、賃貸不動産がある場合には、条項の修正が必要になります。
この点は次回に。    (中里)

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