信託の費用

 かつてこのブログでも、「報酬シリーズ」として信託に関する司法書士報酬について何回かにわたって書き綴ってみたことがあります。決して体系的に整理できているわけではないですし、司法書士界内部の法技術的な問題を多分に含んでおり、信託制度を利用されるユーザーの皆さんからすれば、関心があるのは「トータルでいくらかかるの?」という情報であって、その内訳が何の対価であるのかというような記事は、読んでいてもつまらない内容だったと思います。

 今回、改めてこの話題を拾ったのは、ある法律雑誌で「信託報酬は司法書士法の何に対する対価か?」という、かつての「報酬シリーズ」と似たような切り口で展開された論文を拝読したのがきっかけです。

 巷にあふれる司法書士事務所のホームページを俯瞰すると、相変わらず「信託財産の何%」という報酬体系を掲げた事務所が散見されますが、「報酬シリーズ」でも書いたとおり、依頼者や利害関係人に対し「請求する報酬の対価となる業務」を明確に説明できることはもちろんのことで、この点についてはある程度対応できるように思います。
 しかし、私たち士業の業務は法律によって厳格にその範囲が定められており「司法書士業務として行ってはならないもの」が一定数存在します。したがって、対価が何かの説明にも増して重要なことは「その対価となる業務は司法書士法上どのような根拠に基づいているのか」を明らかにできることであり、この論文でも同様の指摘がなされていました。

 このような「対価均衡性」の観点と「対価となる業務の法的根拠」は、信託関係業にかかわらず、また司法書士業務にかかわらず、あらゆる法律専門家が行う法的サービスに共通の要素だと考えます。
 読者の皆さんが法律専門家をご利用の際には、試しに請求された報酬額の根拠を求めてみてはいかがでしょうか? また、報酬にまつわるトラブルを防止するためにも、事前に見積書の提示を求めることをお勧めいたします!  (中里)

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