こば紀行#100 東京ドーム

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第100回目は東京ドーム

中学の同級生の友人に誘われて、とあるロックバンドのライブに参加した。東京ドームを訪れるのは野球観戦も含め初である。東京駅から中央線に乗り換え、水道橋で下車、そこから徒歩10分弱のところにある。駅を降りたあたりから、ライブに参加すると思われる人の列ができ始める。18時半の開演を前に、会場周辺はものすごい人だかりだ。DJポリスならぬDJ警備員が会場へのすみやかな入場を促している。

このバンドのファン層のほとんどは女性だと聞いていたのだが、ごった返す人だかりはほぼ人科の雄で占められている。それもそのはず、この日のライブは「男祭り」と称した男性ファン限定のものだからだ。期待していた華やかな光景はどこにもない。いや、それどころか真冬なのに暑苦しい、どこか異様な熱気に包まれている。しかも、45,000人の男性ファン、そのほとんどは10-20代の若者達である。40代半ばのおっさんはおそらく我々2人だけだったであろう。

会場に入るとそこは、真っ赤なTシャツを身にまとった45,000人のヤロー共で埋め尽くされている。ヤロー共が身にまとうTシャツにはUVERworldの名が刻まれている。そんな中一人、紺のセーターではバツが悪いので、球場の売店で広島東洋カープの赤いTシャツを調達し、なんとかその場の景色に溶け込む。開演1分前からカウントダウンが始まり、いよいよライブが開始される。

開演と共に観客は総立ち、ヴォーカルの歌声に合わせて皆が熱唱する。時には右手を上げ、また時には飛び跳ねながら、中には涙する奴までいる。一方、私は曲名はおろか、ライブ会場で聞く曲のほぼすべてが新曲だ。一緒に熱唱、いや、口ずさむことすらできない。隣の熱狂的なファンのおかげで耳に入ってくるのは彼らの歌声ばかり..原曲がどんなものなのかも分からない。何とかテンションを上げようと、無意識に私が口ずさんだのは寺尾聡の「ルビーの指輪」。曇り~ガラスの向こうは…隣にいる彼らと私の隔たりは、ガラス張り以上に厚かった。

しかし、間違いなく私一人では知ることのできなかった世界。いろんな価値観を持つ友人に巡り会えた事は、私の人生にとって何よりの宝物である。(こばやし)