生前贈与じゃ~、いけないんですか?

 そういえば「2位じゃ~、いけないんですか?」と言った国会議員さんのことを思い出すタイトルですね(笑)
 さて、時々、こういうお問い合わせがあります。「民事信託でなくても、生前贈与すれば、財産管理できますよね?」
 確かに、信頼できるお子さん等にご自身の財産を贈与して、老後の面倒を見てもらうということはよく行われてきました。通常、そういう場合には、負担付き贈与にすると思います。しかし、この負担付き贈与がくせ者で、一旦、贈与してしまうとその財産は完全に贈与を受けたお子さん等の所有物となってしまうので、例えば、約束だった「面倒を見る」ということが反故にされたとしても、贈与を取り消して、元に戻すということは至難の業になります。そもそも裁判で争ったとしても、「面倒を見る」ということ自体曖昧で、その約束違反を立証することがとても難しいのです。結局、財産だけが贈与を受けたお子さんの自由な意思に基づき処分され、ご自身は恩恵を受けることがない、という悲惨な状況が生まれてしまうことになるのです。ですから、贈与をする以上、その恩恵を受けることはあまり期待しない方がいいと思います。

 一方、民事信託であれば、形式的には、受託者となるお子さん等に所有権が移りますが、実質的な所有権は未だ受益権者であるご自身に残ったままという状況になりますので、受託者に対する監督権を行使して、約束違反を防ぐことができます。しかも、贈与の場合には、贈与税がかかりますが、信託で受託者に移転する場合には、贈与税がかかりません。

 以上からすると、財産管理の観点からは、生前贈与より民事信託を活用された方がいいと思います。 
 ご注意いただきたいのは、民事信託は、あくまで形式的財産移転ですので、相続税対策等で財産をお子さん等に移す場合には、生前贈与が有効な対策となります。要は、制度のことをしっかりと理解し、使い分けをして活用することが大切になります。(名波)

 

 

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