事例検討会

 数年前から、浜松市周辺の地域包括支援センターの職員さんや福祉関係の相談員さんを招いた事例検討会を開催しています。

ご存知の方も多いと思いますが、地域包括支援センターは概ね中学校区にひとつ設置されており、地域内に暮らす高齢者の日常生活の支援に従事しておりますので、日頃から高齢者が抱える借金、成年後見、悪質商法トラブルなどの法的問題を察知できる立場にあります。そこで、毎回テーマを設けてさまざまなトラブルを法律や裁判手続を利用していかに解決に導くかという視点で意見交換をしています。

 私たちからの情報提供だけでなく、私たちが参加者の皆さんから勉強させてもらうことも多いほか、互いに相談者を紹介し合うことにより早期の問題解決にも役立っています。

 前回の事例検討会の出席者からは、次のような相談が寄せられました。

「自宅で独居生活をされている70代の男性の件。まだ頭も体もしっかりされている方とのこと。子供は男二人でいずれも市内で暮らしています。このうちの長男から地元の地域包括支援センターに『二男が父の預金を使い込んでいる』『父の言動からは虐待の事実も察せられる』との相談が持ち込まれたようです。地域包括支援センターとしては、虐待が事実であれば対応することができますが、預金の使い込みについては、父親の判断能力がしっかりしている状況にあっては対応の仕様がない」とのことで、困惑されておりました。

 このようなケースは、しばしば耳にしますよね。

 後見制度では対応できないケースですが、このブログの読者であればすぐに「信託」の利用を思い浮かべることでしょう。

 そこで、次回の事例検討会では、まだまだ一般にはなじみの薄い(というか、全く知られていない)信託の概要と活用例をご紹介し、元気な高齢者の財産管理にご活用いただこうと考えています。

 このような取組みを通じて、少しずつ実績が積みあがっていくことを期待しています。

(中里)