信託口座の開設

民事信託の契約をした場合、すみやかに金融機関で「信託専用の口座」を作成する必要があります。

なぜなら、受託者には自身の個人的な財産と信託された財産を分別して管理する義務があるため、信託されたお金や信託財産から生じる収益(賃貸物件を信託した場合の家賃など)は、「信託専用の口座」で管理しなければならないからです。

具体的には、『委託者〇〇 受託者△△ 信託口』のような口座を作成します。(金融機関により記載は若干異なります)

 

しかし、今までこのような口座の作成に対応してくれる金融機関は少なく、信託契約を締結したものの、財産の分別管理ができずに困ってしまうケースが少なからずありました。

 

しかし、民事信託の需要が増えてきた昨今、「信託専用の口座」を作成できる金融機関が増えてきました。

 

ただ、

・信託契約は公正証書でなければならない

・信託監督人(受託者が信託の目的に沿って財産管理を行っているか監督する人)を置いていること

など、信託専用口座の作成について金融機関独自の条件を付しているところが多いです。

 

信託契約自体は、公正証書でなくても、信託監督人がいなくても有効です。

しかし、後々に信託専用の口座を作成することを考えると、こういった点も考慮しながら契約手続きを進めていくことが必要になります。

 

 

2018年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(4)

≪前回の整理≫
「貸したお金を返してほしい」という相談であっても、司法書士は、返してもらいたいお金が140万円超なら「個別受任事案」として、140万円以下なら「包括受任事案」として対応できる。

(※)140万円以下であっても、あえて「個別受任事案」として受任することはもちろん可能です。

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さて、「司法書士にお任せ!」というスタイルを取ることができるのが「包括受任事案」です。「お任せ!」ですので「130万円の残金のうち30万円を免除して100万円を一括で払ってもらうことでよしとしましょう」とか、「50万円を一括。残りは毎月5万円ずつの分割でいいですよ」とか、「分割払いにするなら保証人を付けてほしい」など、具体的な解決案を司法書士独自の判断で決定できる点に、大きな特徴があります。

これに対し、個々の書類作成の積み上げにすぎない「個別受任事案」の場合、司法書士が依頼を受けることのできる内容は「この書類を作って!」という限定的内容となります。「お任せ!」というわけにはいかないのです。
司法書士ができるのは書類の作成だけですから、実際に裁判所へ出かけていくのも、相手方と交渉して具体的な解決案を決定するのも、すべて依頼者ご自身が行う必要がある点に、ご注意ください。

なぜ、こんなふうに分かりにくい仕組みになったのかというと、本来、民事トラブルの解決を「お任せ!」というスタイルで受けることができるのは弁護士に限られていました。しかし、平成14当時、弁護士が今のように多くなく、少額のトラブルまで弁護士が対応しきれていない現実があったため、少額トラブルに限って、司法書士に弁護士と同様の「お任せ!」スタイルを解禁した経緯があるのです。
このとき、いくらを「少額」のラインとするかが検討されたのですが、簡易裁判所で取り扱うことのできる裁判が140万円であることから、140万円以下を「少額」と取り扱うことにしたわけです。

このように「包括受任事案」と「個別受任事案」では、司法書士に依頼することのできる範囲も大きく異なりますし、依頼者ご自身が担わなければならない範囲も同様に大きく異なります。
当然、司法書士に支払う報酬にも、両者の間で違いが出ることになります。    (中里)

2018年5月16日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

賃貸物件の信託をしたら賃借人に通知を!

賃貸物件を信託財産とすると、委託者から受託者に賃貸物件の所有権が移転することになります。

それと同時に、賃貸人としての地位も受託者に移転しますので、以後の賃料の受け取り口座も受託者口座に変更する必要があります。

また、受託者口座は「委託者●●●●信託口 受託者●●●●」等の特殊な記載になることが通常ですので、信託についての説明と受託者口座の説明を書面にして、賃借人に通知をすることで、丁寧に賃借人に説明をする必要があります。(ななみ)

2018年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

司法書士総合相談センターしずおか(1)

静岡県司法書士会では、「司法書士総合相談センターしずおか」というものを設置し、市民からの無料相談を受け付けています。

(詳細は、http://tukasa111.sakura.ne.jp/consultation/index.html

現在、半年間の相談内容を分析しておりますが、その中で「信託」に関する相談がいくつか見受けられました。私たちが活動を始めた3年前には「信託」の相談はありませんでしたから、ようやく市民の方にも周知されてきたと思います。この点は、好ましい傾向だと私は考えております。

一方で、(信託とは全く関係ないですが)「これは、問題だなぁ・・。」と感じる相談も増えてきました。

この話は、また後日!(小出)

2018年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

本人確認意思確認

司法書士の業務の柱として不動産の名義変更があります。

不動産の名義を変更する場合,特に,現名義人に対しては,同人の名義がなくなってしまうことから特に注意が必要です。

このため,現名義人の本人確認と意思確認を注意して行うことになります。

今回,登記名義人は埼玉県です。遠方ではありますが確認に行くことになりました。

現名義人の意思に齟齬がないのかしっかりと確認して参ります。

文責:本木敦

2018年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

財産を委ねるために

先日、家庭裁判所から成年後見人に選任されました。これから、判断能力が低下した成年被後見人のために身上監護や財産管理を行っていくことになります。そのために、成年被後見人の財産の引継ぎを行わなければいけません。具体的には、被後見人の財産を管理していた親族から私に対して通帳等を引き渡してもらいことです。

ところが、成年被後見人の親族と私には面識が一切ないのです。成年後見人や親族からすると面識のない私に財産を委ねなければならないわけですから、親族の方から通帳等を引き渡していただいた際には戸惑いの様子が伺えました。

年齢を重ねると、人は身体的にも精神的にも衰えが出てきます。生活をしていくためには、様々な方の助けが必要となります。財産管理も例外ではありません。しかし、自らの財産を委ねることには物凄く大きな勇気が必要であろうと思われます。このようなハードルを下げる方法は、制度に対する社会の信頼が必要だと考えます。

民事信託も同様です。社会から信頼に値する制度にすることが大事だと考えます。(小出)

2018年5月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#59 天橋立

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第59回目は天橋立

言わずと知れた安芸の宮島、陸奥の松島と並ぶ日本三景のひとつ。海の京都とも呼ばれていて、京都府だけど京都市内からは電車で約2時間、鈍行だと4時間、福井県に近い日本海側にある。私は18切符で片道9時間強を掛けて行ったが、素直に特急を利用した方が賢明だろう。そこまでして行く価値はある。以前ご紹介した城崎温泉とセットであれば完璧だ。

橋立は宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる砂浜で、対岸までは全長3.6キロ、その形が天に架かる橋のようであることから名付けられた。対岸まではレンタサイクルや観光船、あるいはこれらの組み合わせで渡ることができるが、片道だけでも歩いて渡ることをオススメする。片道50分、それなりにしんどいが、松並木の中を、左右に海を見ながら散策できる。この道を歩くだけで、江戸時代・参勤交代中の下級武士の気分になれる。

渡り終えたらケーブルカーを利用して傘松公園へと向かう。展望台もあるが、真っ先に展望レストランへ入った方が良いだろう。窓際の席に座ることができれば展望台と同じ景色を見ながら食事ができるし、遅れると記念撮影後の観光客がワサワサと押し寄せるからだ。寒ブリ丼2,000円はなかなか贅沢だが、この景色を見ながらの食事ということであれば十分に満足できる。ただ、この写真では全く伝わらないのが残念だ…

主なビューポイントは2つ、北側にあるこの傘松公園と南側の天橋立ビューランドから観るもの。「股のぞき」といって、天橋立の方向に背を向けて立ち、腰を曲げて股の間から景観を眺めると、直立時とは逆に海が空に見える。傘松公園からこの「股のぞき」を試すと、その名の由来どおり天に架かる橋のように見え、ビューランド側では天に舞い上がる龍のように見えることから「飛龍観」と呼ばれている。が、私はこの「股のぞき」を試していない。言葉の意味を捉え違えていたからだ。やり残した感がある、いつかまた来たい。(こばやし

 

 

2018年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

財産管理

我々司法書士は、依頼により、又は裁判所から選任されて『財産管理』の仕事を行うことがあります。

 

私は、個人的には不動産を所有していないのですが、成年後見人として、被後見人の自宅を管理する立場にあります。

その自宅は空き家なので、たまに空気の入れ替えが必要ですし、修理や手入れが必要なことがあれば、私が業者に依頼します。

先日は網戸がやぶれたままになっていたので、業者にお願いしました。

ご近所に迷惑が掛からないよう、草取りも定期的にお願いしています。

お願いするだけなのですが、見積もりを取ったり、業者と打ち合わせたり、現場で立ち会ったりと、それなりに手間がかかります。

しかも、ここまでやれば『財産管理』として十分、と決まっているわけではないので、他に不具合がないか、手を入れるところがないかを常時気にしなければなりません。

財産の価値が低下しないように、不動産をしっかり管理しなければならない責任があるので、どこまですべきか、何をすべきかが悩みの種です。

 

不動産を所有している方や実際に管理されている方の大変さを少しだけ実感しております。

2018年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(3)

≪前回の整理≫
司法書士業務は「個別受任事案」と「包括受任事案」に大別できる。
「個別受任事案」における司法書士報酬の対価は【書類作成】である。
「包括受任事案」における司法書士報酬の対価は【依頼者が得た利益】である。
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司法書士の代表的な業務である不動産や会社の登記申請手続きは、相続・売買・住所変更(不動産)、設立・役員変更・増資(会社)など、個々の単発な事象を登記記録に反映させるための【書類作成】ですので、これが「個別受任事案」にあたることはご理解いただけると思います。

依頼者の皆さんにとってとても分かりにくいのは、裁判関係の業務だと思います。
たとえば、ある司法書士が「150万円貸したけど返してもらえない」という相談を受けたとしましょう。依頼者からすれば(報酬の高い安いはいったん横に置くこととすると)「訴状だけ作成して終了」という「個別受任事案」として依頼するよりも、「お任せするから回収に必要な作業をお願い!」という「包括受任事案」として依頼する方がメリットは大きいですよね。

でも、私たち司法書士は、このご相談に対し「包括受任事案」として依頼を受けることができないのです。その理由は、前回の末尾(※)の部分となります。もう少しかいつまんでみましょう。

このご相談は『「150万円」の「貸金の返還」(=民事トラブル)について「交渉や裁判」によって解決したい』という内容です。しかし、「司法書士法」や「弁護士法」という法律により、司法書士が民事トラブルについて依頼者の代理人として(つまり「あなたにお任せで!」,=「包括受任事案」として)交渉や裁判の依頼を受けることができる金額の上限は、140万円なのです。

したがって、このご相談に対し私たち司法書士は、弁護士のように「私がお任せいただいたのですべて私に連絡してください」というような対応はできません。
これをやってしまうと、弁護士法違反により処罰の対象となります。
私たちができるのは、裁判を起こすための「訴状」という書類を作成するという「個別受任事案」としての対応に限定されます。もちろん、裁判が進行するに従って必要となる「準備書面」「証拠申出書」などいろいろな書類を作成しますが、これらはその都度「個別的に」作成依頼を受けることができるにとどまり、「包括的に必要書類をまとめて作成して!」とはいかないのです。
「書類作成の依頼」と「書類の作成」という1対1の関係が複数件積み重ねられるわけですね。

これが「130万円貸したけど返してもらえない」であれば、140万円以内の民事トラブルとなりますので「あなたにお任せで!」(=包括受任事案」)のスタイルで受任できます。

このように、司法書士側の法律上の制約により「お金を返してほしい」という同じご依頼でも、それが150万円なのか、あるいは130万円なのかによって、ご提供できるメニューが異なってしまうことになります。
面倒な話ではあるのですが、この先、報酬のご説明を進めるにあたってこの辺りの情報は不可欠となりますので、理解を深めていただけるとありがたいです。   (中里)

2018年5月2日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

ご自身の財産、ご家族の財産のことを考えるとき

相続手続きのご相談等で事務所を訪れる方々とお話をしていると、相談の時間が、日頃は考えたことのない自分の財産やご家族の財産について考える時間になっていることに気づきます。

人の「他界」という一点だけを捉えると「相続」のお話で終わってしまうのですが、人の「人生」という視点でお話が進むと「財産管理」について考える時間に変わります。

財産という視点で、自分の人生について考えるとき、より自由な設計ができる「民事信託」が選択肢に加わってきます。

財産管理という視点で人の人生を支える役割が民事信託にはあるのだということを感じる瞬間です。(ななみ)

2018年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust