遺言について~③~

今回は自筆証書遺言についてお話したいと思います。

自筆証書遺言というのは、遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き作成する方式の遺言です。この遺言の長所としては以下の2点が挙げられます。

①誰にも知られず簡単に作成できる

公正証書遺言のように公証人や証人を必要としない自分一人で作成する遺言の特徴といえます。

②費用がかからない

ただ、自筆証書遺言は「家庭裁判所の検認」が必要となります。この検認がなぜ必要なのかを少し説明いたします。

遺言で最も防ぎたい事柄の一つとして遺言書の偽造があります。その偽造を防ぐために法律では遺言書を発見した人は、家庭裁判所に提出して検認の申立てをしなければならないと規定されております。封筒に入っていれば絶対に封筒から出してはいけません。家庭裁判所は遺言書の検認をするために、何月何日何時に家庭裁判所に来るようにという内容の手紙を相続人全員に対して発送します。そして、相続人立会いの下、封を開けて偽造されていない遺言書を確認することになります。この検認手続を自筆証書遺言は必ず行う必要があります。この点、公正証書遺言では不要です。なぜなら、公正証書遺言は公証人と証人2人の立会のもと作成され、遺言書は保管されるからです。つまり、偽造の心配が不要ということです。

以上のように、作成時点では自筆証書遺言は費用はかかりませんが、遺言者が亡くなった後、検認の申立で費用がかかるという点については忘れないでください。

次回は、自筆証書遺言の短所について話します。(つづく)