「東京」に思う

本木敦です。

私は高校二年のとき、部活の試合で東京へ遠征したのだが、それまでに東京には一度しか行ったことがなかった。因みに私が初めて東京に行ったのは小学校の修学旅行だった。当該東京遠征の際、顧問の先生や同級生にこのことを告白したとき、呆れられたのを覚えている。この点について私は特に親に不満があったわけではなく、むしろ、みんなはどうして東京に出かけているのだろうと思っただけだった。
しかし、私は「東京」に興味がなかったわけではない。静岡県は浜松市という田舎で育った私は、当時、「東京」という言葉の響きに、何とも言えない憧憬を抱いたものだった。批判を恐れずにいえば、これは首都圏近郊ではない地方出身者には共通した感覚かもしれない。
あれから22年、その間、東京には幾度となく赴いている。そして今も東京に向かう新幹線の中にいる。しかし、私のなかの「東京」は健在だ。

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