相続登記未了と固定資産税

先日、法務省で相続が発生した時に、不動産の名義変更(これを、「相続登記」といいます)をしていない方が中小都市・中山間地域において26.6%という数字が発表されました(正確には「最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているもの」という表現ですが…)。

 

相続における不動産の名義変更が行われていないと、「まちづくりのための公共事業が停滞する」とか「空き家が増加している大きな要因の一つ」とか指摘がされています。しかし、それ以上に身近で大事な問題があります。

 

「税金」です。名義変更されていない不動産は、相続人「全員」の共有状態ということになります。不動産には「固定資産税」という税金が課されますが、この税金は所有者に支払い義務が生じます。相続が発生すれば相続人が支払うことになるわけですが、名義変更が済んでいない場合、法定相続分に応じて支払えば良いかというとそうではありません。相続人が4人の場合、税金が4等分になるというわけではない、ということです。この場合、相続人の代表者が「全額」納めなければなりません。

 

問題はここからです。相続人の代表者が納めなかった場合、どうなるのでしょうか?固定資産税は法律上、相続人全員に「連帯納付」を義務づけています。したがって、代表者が滞納すれば、当然、義務者である相続人全員に滞納処分を下されます。つまり、財産が差し押さえられるわけです。

 

しかも、税金は滞納すると、必ず「延滞税」が課されます。その税率は14.6%という非常に高い利率です。

 

「自分は不動産なんていらない」という理由では、税金を納めなくていい理由にはなりません。この点は、しっかり認識していただきたいと思います。(小出)