民事信託が広がりつつある?

最近、「民事信託」というキーワードをいろいろなところで耳にするようになった気がします。

自分の興味があることなので、些細な変化も敏感に感じているだけかもしれませんが・・

電話相談でも、「銀行で遺言信託っていうのを聞いたのだけど・・、よくわからないから教えて!」とか、

「今度、私、民事信託のセミナーを開催することになったのだけど、名波さん、民事信託について詳しい?」というFPさんからの問い合わせ等々。

私としても、今年は、去年以上に民事信託に関する実績を積んで、「民事信託」の普及に貢献できればと思います。(名波)

シリーズ 信託の“肝”(12)

年間110万円の非課税枠を利用する方法

この方法を利用するには、最初の受益者を二人にしておく必要があります。
この内の一人は、障害を持つお子さんですが、ここでのポイントは、もう一人の受益者として委託者ご自身、つまりお子さんの将来の生活のために資産を信託しようとする親御さんとしておくことです。

もう一つのポイントは、信託条項の中に「受益者A(お子さん)の受益権の範囲は、委託者が負担する扶養義務の範囲内とする」等の条項を設けておくことです。

信託は、その効力が生じたときに委託者から受益者に財産が移転したものと評価し、受益者に贈与税が課せられますね。
このケースに置きかえれば、お子さんと親御さん自身(委託者)の二人に財産の移転があったと評価されるわけです。
もっとも、委託者自身への移転について贈与税が生じないことは(10)でご説明したとおり。では、お子さんへの財産の移転についてはどうでしょう?

ここで、先の信託条項が生きてくるわけです。
お子さんの受益の割合は「扶養義務の範囲内」、つまり日常生活を送る上での衣食住その他の生活費の範囲内に限られるという意味です。
この条項を置くことにより、お子さんへの財産の移転は年間110万円に収まると考えられ、贈与税の課税が回避できると考えられるわけです。  (中里)