叶(かなう)のメンバーが講師に招かれる理由

このところの立て続けの災害で、多くの方々が被災されています。心からお見舞い申し上げます。

最近、叶(かなう)の個々のメンバーが「民事信託」をテーマとしたセミナー等に講師として招かれています。

私も、保険会社さんが主催する民事信託を活用した事業承継のセミナーと社会保険労務士さんが主催する「民事信託」のセミナーの講師としてお招きいただいています。

「民事信託」という言葉自体が、市民の中に浸透し始めていること実感する動きでもあるのですが、講師を受ける側からすると多くの方々の前であるテーマについてお話させていただくには、それなりの勇気が必要となります。

私自身、何件かの実際の案件にも携わらせていただいているので、それなりに民事信託のポイントはわかっているつもりですが、一人からの視点は、客観的に見るともしかしたら偏りがあるかもしれません。様々な不安もあります。

ただ、叶(かなう)の勉強会に参加させていただいているお陰で、いろいろな論点に対して、様々な視点、角度からの検討の過程に身を置くことができています。

その経験が、「何をお伝えしたらいいのだろう」という不安を「このことをお伝えしたい」の勇気に変えることができているのだと実感しています。

これからも叶(かなう)のメンバーと共に切磋琢磨できればと想いつつ。(ななみ)

 

2018年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

雑感

今朝(9/6)の北海道胆振東部地震によりお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞いを申し上げます。また,一刻も早い復旧を心よりお祈りいたしております。

 

最近,中学の後輩が仕事を依頼したいと事務所に来所してくれた。

一通り仕事の話を終えたあと,雑談になった。

彼は会社の経営者で,いろいろな事業を始めているという。

その話の中で,「本木さんの仕事は本当の意味での競争社会ではない」という発言があった。

これは,常々感じていることである。私たち司法書士は司法書士法という法律によりその業務については独占業務であり,司法書士ではない者が業務を行うことはできない。司法書士同士の競争はあるが司法書士の人数から考えると,彼のライバルというべき者との競争とは比べものにならないだろう。私たちのおかれている状況だからこそ一定の質を保つことができるという考え方と独占業務に対する批判という考え方が成り立つ。

今,私にできることは質を保ちつづけていくことだろう。それは業務においてもそうだが,もっと大きく司法書士に対する信頼もだ。

最近の報道で,高度経済成長期に建てた構造物の維持が難しくなっているというようなものを見た。新しく構造物を建てることは予算も付きやすいが維持には予算がつきにくい。司法書士の信頼を勝ち得ていくには地道な努力しかない。

本木敦

2018年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

 前回の続きです。

 

図3

 

 右から2番目の矢印のように、受託者は信託財産負担債務を固有財産にて負担するということを説明しました。ところが、「信託財産負担債務を固有財産にて負担する」ことを明確に記した条文は信託法には存在しません。したがって、この点を指摘していない書籍も散見します。しかし、丹念に条文を読み込むと、今、申し上げたことが正しいということが分かります。信託法21条1項と2項です。

 

第21条 

 1 次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。

    (1号~9号略)

 2 信託財産責任負担債務のうち次に掲げる権利に係る債務について、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う。

    (1号~4号略)

 

 1項は「次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。」と規定しているのに対して、2項は「信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う。」と規定されています。分かりますか?2項は「のみ」と規定しているのです。つまり、信託財産だけが責任財産である債務を2項は規定しています。しかし、1項は違います。「のみ」がないのです。信託財産責任負担債務であっても固有財産で責任を負う場合もあることを、1項と2項の区別から読み取ることができるのです。

 他に破産法244条の7第1項からも読み取ることが可能です。

 

第244条の7 

 1 信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、信託債権を有する者及び受益者は、受託者について破産手続開始の決定があったときでも、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。

(2項以下略)

 

 この条文から、受託者の固有財産が信託債権にとって責任財産になることを意味しております。

 

 あと、信託法76条も各自調べてみてください。(小出)

 

こば紀行#70 白沢温泉もりのいずみ

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第70回目は白沢温泉

仕事でできあがった書類をお客様の自宅まで直接届けに行くことがある。たいていは市内か近隣なのだが、今回は森町のはずれ、島田市との境だという。島田市といっても旧川根町との境にある山奥で、買い物に出かけるときは車で1時間近くかけて島田か袋井の街中まで下りるのだとか。そんな中をわざわざ磐田までお越し頂いたのだ、誠意を持ってお届けにあがらねばならない。

地までは山道を1時間半、片側1車線で途中、ガードレールもない崖道のような所をひたすら登る。お届け先はそのほぼ山頂、すれ違う車どころか周囲には民家もない。標高700Mに位置し、木々に囲まれているせいか真夏の日中にもかかわらずクーラーなしでも凌げる。大自然に囲まれた昔ながらの家、あまりに居心地が良く1時間以上も居座ってしまった。

来た道を引き返すのはこばやしのポリシーに反するため、そのまま反対の島田側へと下山する。下りた先が川根町の真ん中あたりだったので、大井川沿いの国道をそのまま北上、いつか鉄道で来た道を今度は車で北上した。すると、寸又峡へ続く道の手前あたりに「白沢温泉」なる看板を発見、吸い寄せられるように直行する。

寸又峡や接岨峡温泉には何度か足を運んだことがあるが、ここは初めてだ。「もりのいずみ」という温泉施設で、周囲にはコテージやキャンプ場も備える複合施設のようだ。日帰り温泉には8つの湯船と露天風呂があり、食事処や休憩処も充実している。大井川のほとり、真夏の夕暮れに、川のせせらぎと鳥のさえずり、蝉の鳴き声を聞きながら浸かる露天風呂…何とも心地よい時間を過ごすことができる。新たな癒やしスポットを発見した思いだが、片道2時間はちょっと遠いかな。。(こばやし)

2018年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

受託者になったら

信託契約を締結すると、『受託者』となられた方に『信託目的に従って、受益者のために、委託者が信託した財産を管理・処分する権限が生じます。

よって、信託契約後、様々な契約の契約者を変更したり、信託財産管理用の口座を作成したり、管理に必要な行為をどんどん行っていく必要があります。

これらの手続きは、信託契約を締結しても自動的に変更されるわけではなく、受託者が自ら役所や金融機関、各関係機関に連絡し、様々な手続きをしなければなりません。

実際に信託契約を締結した方から、これらの手続きが想像より大変、何をしたらいいのか分からない、というご相談を頂くことがあります。

我々司法書士にご相談をいただいた場合、受託者となられる方に対し、契約締結後にどのような手続きをしなければならないのか、代表的な手続きや重要な事項についてはご説明しますが、管理・処分行為自体が多岐にわたるため、全てを詳細に説明することはできません。

また、信託の目的に反しない限り、受託者となられる方の判断で財産を管理処分することが認められているので、受託者の裁量部分による部分は、最終的には受託者に決めていただく他ありません。

受託者の方は、他人の財産を預かる立場になりますので、大きな責任が伴います。財産管理が雑でお金の使い道が説明できない場合や、手続きを放置していて受益者の方に損害が生じれば、損害賠償請求される場合もあります。

受託者になることは、大きな権限を手にすると同時に大きな責任を負います。

そこをしっかり説明し理解していただいた上で契約していただきたいと思います。

 

2018年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(14)

前回指摘のとおり「成功報酬制の採用」は、そのことだけをもってしても「代理行為をしている」という外観を作出することになります。

もちろん「代理権のある行為について代理すること」「代理して依頼者が得た利益に対し成功報酬を受領すること」は何の問題もありません。「代理」という部分は、成年後見や民事信託のような財産管理型の事案については【包括受任】と置き換えた方がこの連載の読者の方にはわかりやすいですね。

しかし、民事信託における「信託財産の●%」という報酬規定は、【包括受任】の性質を持たない民事信託(この点は、過去の連載で繰り返し指摘してきました)の事案では、司法書士の提供する事務との対価均衡性を欠く部分が相当程度存在することとなり、その対価均衡性を欠く部分が「【包括受任】できない事案を【包括受任】している」という評価につながってしまった場合に、140万円超の過払金請求の事案と同様に弁護士法違反なり、信託業法違反なりという違法行為を構成することになるのではないかという懸念につながるわけです。

では、民事信託業務において司法書士報酬をどのように規定すべきかということが次の問題となります。
次回以降は、この点についての試案をご紹介していきます。

(中里)

2018年8月31日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

自社株式の信託のときの楽しみ

信託というと土地や建物、そして金銭を信託する内容が一般的ですが、株式会社の経営者からの相談となると自社株式の信託の件が入口の相談となることがあります。

私は、相談の中で、依頼者の想いやストーリーを伺うことが大好きで、ついつい相談時間が長くなってしまいます。

中でも、経営者の場合には、経営に対する想いや理念、戦略の話となると2時間くらい続けて経営者のお話を聞き続けることも度々あります。

先日も、ある経営者の方から、とても面白い戦略ストーリーをお聞きすることができました。その後も、その方の自社の過去の歴史、強み、今後のビジョンをお聞きすることができました。隣にその方の奥様も同席されていたのですが、なぜかハンカチで涙を拭きながら、頷きながら話を聞いていらしたのが印象的でした。

もちろん、自社株式の信託に関する契約書案もしっかりとご説明させていただきましたよ♪

(ななみ)

2018年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託口口座の開設

今年の5月に信託契約をしたお客さまがいました。

そのときの契約書を持参して金融機関に行き信託口口座を開設したいと申し出たところ,当該金融機関はその契約書の内容では不十分のため加筆してもらわなないと開設できない,ということでした。

私はその報告を受け,お客さまと協議して,今後の対応を協議しました。その結果,金融機関の指摘のとおり加筆することになりました。

そして,先日,5月の信託契約の変更契約を締結しました。

お客さまは,その足で金融機関へ信託口口座の開設に出向かれたようで,無事に手続をすることができたようです。

また一つ,信託の手続で経験値を上げることができました。お客さまには心より感謝しております。この場を借りてお礼申し上げます。(本木敦)

 

 

2018年8月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

ここまでの説明を振り返りますと、受託者は2種類の財産を所有していました。一つは「自分のため」の「固有財産」、もう一つは「他人のため」の「信託財産」です。そして、成年後見制度と同様に、この2種類の財産を取り分けて管理等することが大きなポイントでした。しかし、成年後見制度と異なって、信託財産は受託者名義になります。これは、どのような効果をもたらすのでしょうか?

以下の図を使いながら、説明を進めていきます。

図3

信託財産である賃貸マンションに修繕が必要になったとします。ここで、工事を依頼すれば修繕費が発生します。この修繕費は、信託財産のために費やしたものですから、当然信託財産にて弁済します。今の説明は、図の一番右側の矢印で示しています。この点は問題ないと思います。ちなみに、このような債務を「信託財産責任負担債務」と言います。

同様に固有財産である賃貸マンションの修繕を行えば、固有財産から支払いをすることになります。図の一番左側の矢印の説明です。これもご理解いただけると思います。

では、信託財産の修繕費を信託財産から支払うことができなかった場合はどうなるのでしょうか?賃料の入金前で資金が不足していた場合などが考えられます。受託者は「信託財産にお金がないから支払えない。」と突っぱねることができるのでしょうか?それは、おかしな話です。そもそも、受託者が工事請負契約を締結できたのは、信託によって信託財産が受託者の所有に属しているからできたのです。なぜなら、「信託の目的」という制約はありますが、その制約内において、受託者は信託財産を管理・運用・処分する権限を与えられているからです。その管理方法の一環として、工事請負契約を締結することができたのです。権限に伴って発生した債務について、責任を負うことは当然のことです。

債権者の立場からしても、債務者が受託者であると認識して取引関係に入っているわけです。このような点を踏まえると、受託者が信託財産負担債務を固有財産にて負担することは、むしろ自然であるといえます。以上の点を図で表しているのが、右から2番目の矢印となります。

先ほどの説明で分かると思いますが、受託者の地位というのは、保証人の地位に非常に近しいものと言えます。そのような地位に受託者があるということは大事な点です。受託者に就任する方は、以上の点を認識して就任を承諾していただきたいと思います。

なお、左から2番目の矢印の説明は、次回に譲ります。(小出)

2018年8月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#69 菊川ブルーベリーの郷

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第69回目は菊川ブルーベリーの郷

N氏家族とはよくフルーツ狩りに行く。最近はどうもブルーベリーにハマっているらしく、今シーズン2回目だ。ブルーベリー狩りのシーズンは6~8月下旬、小粒でサクサクと食べやすく、小さな子供向きでもある。いつもは浜松市の三方原にある農園に行くのだが、今回はちょっと趣向を変えて菊川まで行くのだそうな。

川でも割と海よりに近い方なのかと思うが、いずれにせよ周囲には何もない。旧小笠町にある農園で、ハウス栽培ではなく、山の斜面にブルーベリーの木が植わっている。園内はそれなりに広く、品種毎にエリアが分かれていて、ちょっとしたハイキングをしながらブルーベリーを摘んでいくことができる。こういうスタイルは大好きである。時間制限もないため、急かされることもなく色んな品種を楽しめるのだが、この炎天下ではそれなりに限界がある。

もともとは小笠地区の遊休農地であったところを、10数年前に現在の女性農園主が農業経験もほとんどないところからスタート、今や年間3万5000人が訪れる観光農園にまで発展させた。農園のみならず、ブルーベリーの素材を生かしたジャムやジュース、パスタやサプリなど様々な商品を開発し、ネットショップまで展開している。そういえば、こばやしの業界内にも似たような女性実業家がいたことを思い出した。柔軟な発想力とそれを行動に移す力はほんと凄いと思う。

で、その発想力の塊のような商品を発見した。その名も「ブルーベリーカレー」。いくらなんでもこれはやりすぎだろ!と思うような毒々しいみてくれ。こば紀行の取材という使命を帯びてなければ間違いなくスルーしていたそのメニューを、N氏家族の反対を振り切りオーダーする。そして、待ち構えた商品が到着、皆さんカメラは構えても、一口くれとは誰も言わない。緊迫した空気の中、その一口目を口に運ぶ。。が、これが意外に旨い。おそるべき感性と完成度、色んな意味で楽しめるスポットである。(こばやし)

2018年8月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust