報酬(14)

前回指摘のとおり「成功報酬制の採用」は、そのことだけをもってしても「代理行為をしている」という外観を作出することになります。

もちろん「代理権のある行為について代理すること」「代理して依頼者が得た利益に対し成功報酬を受領すること」は何の問題もありません。「代理」という部分は、成年後見や民事信託のような財産管理型の事案については【包括受任】と置き換えた方がこの連載の読者の方にはわかりやすいですね。

しかし、民事信託における「信託財産の●%」という報酬規定は、【包括受任】の性質を持たない民事信託(この点は、過去の連載で繰り返し指摘してきました)の事案では、司法書士の提供する事務との対価均衡性を欠く部分が相当程度存在することとなり、その対価均衡性を欠く部分が「【包括受任】できない事案を【包括受任】している」という評価につながってしまった場合に、140万円超の過払金請求の事案と同様に弁護士法違反なり、信託業法違反なりという違法行為を構成することになるのではないかという懸念につながるわけです。

では、民事信託業務において司法書士報酬をどのように規定すべきかということが次の問題となります。
次回以降は、この点についての試案をご紹介していきます。

(中里)

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2018年8月31日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust