自分に自信がある方ほど、専門家にご相談ください。

日頃、様々なご相談をお受けする中で気になることがあります。

最初から「○○をお願いします!」のように、ピンポイントで断定的な言い回しをされる方のご依頼です。

うん?と思い、敢えて詳しく事情をお聞きすると、「なるほど。そういう背景ならば、その手続きはより慎重に検討された方が良いと思いますよ」とお答えする場合が多いのです。

もう少しハッキリ申し上げますと制度の「勘違い」をされている方や、俯瞰的な見方が足りなくて、他の選択肢の検討がされていない方が多いのです。

特に「自分は法律のことはわかっている」と思われている方は注意が必要です。これは自戒の意味も込めてです。

来年、再来年に向けて、相続法の改正や民法の改正が施行されます。

今の制度でも、勘違いしているとすると法改正が加わることで益々問題が広がりを見せてしまうかもしれません。

法制度が変わるタイミングは自分の知識を整理するチャンスですので、そういうときこそ、法律専門家をご活用ください!

(名波)

2018年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(2)

遺産分割協議による相続登記には、相続という登記原因の発生根拠となる法律事実、すなわち相続人の確定、相続財産の承継方法・分割方法を証する戸籍謄本及び遺産分割協議書等を提供することになります。このため、戸籍謄本及び遺産分割協議書等の内容の真実性、有効性、適法性が確保されていることが重要となります。

次に日本の相続登記制度を考える前提として諸外国の相続制度を考えます。

死亡などの相続原因が発生した場合に被相続人から相続人に財産が移転する形態としては、包括承継主義と管理清算主義の形態があります。

包括承継主義とは、相続原因の発生と同時に、被相続人と利害を有する者との間で何らの清算手続を経ずに、被相続人の財産が包括的に相続人に移転する形態です。【債務】について包括承継主義では、被相続人の財産は債務も含めて一切が承継されるため、債務の相続を回避するためには別の手続(相続放棄、限定承認)が必要になります。これは、日本、ドイツなどで採用されている形態です。もっとも、この場合でも、限定承認の制度を利用している場合には、所定の手続を経れば清算主義に近い形態になります。(本木敦)

2018年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

今回から、受託者について話します。信託法においては、信託財産と並んで受託者は必要不可欠な機関となっています。他の機関について一言申し上げますと、委託者は信託設定の段階では重要な役割を果たしますが、遺言信託のように信託が機能してからは存在しない場合もあります。受益者も「目的信託」という特殊な信託では、受益者が存在しません。しかし、信託財産と受託者は信託においては絶対に必要です。この点を最初に確認しておきます。

受託者は、信託財産について完全な所有権を有しています。しかし、これは「信託の目的」に沿った管理・運用・処分を行う義務を負う、特殊な所有形態でした。なぜなら、受託者は「他人(受益者)のため」に信託財産を所有しているからでした。この「他人(受益者)のため」を実現させるため、信託法は受託者の義務というものを用意しました。主なもので5つあります。

・信託事務遂行義務(29条1項)

・善管注意義務(29条2項)

・忠実義務(30条~32条)

・公平義務(33条)

・分別管理義務(34条) 

です。ここに挙げられた条文は必ずご確認いただきたいのですが、この中でも特に重要な忠実義務についてみていきます。その後、分別管理義務についても話してみたいと思います。

忠実義務は30条に定められていますが、この忠実義務から導かれた31条の利益相反行為と32条の競合行為が、信託契約の作成や信託登記における信託目録において非常に重要となりますので、次回、この2つを確認したいと思います。(小出)

 

2018年10月24日 | カテゴリー : 信託の基礎 | 投稿者 : trust

こば紀行#75 浜名湖チャリ走①

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第75 回目は浜名湖チャリ走

数年前、司法書士の合格同期の結婚式が浜松であった。県中東部からも同期の仲間がやって来るということで、浜松の観光案内をしろ!と私にリクエストがあった。そこで、こばやしが企画したのがこの「浜名湖チャリ走」…のちにこう名付けられたこの企画は、一部仲間の間では伝説(黒歴史)となっている。

企画の中身は至ってシンプルで、浜名湖をレンタサイクルで1周する、それだけだ。スタート地点は弁天島海浜公園、ゴールも同じ、走行距離67.1キロ、制限時間は約6時間半、浜松随一の観光スポットをサイクリングでのんびり堪能できる素敵な企画だ。

しかし、この企画は仲間達からの裏切り(大ブーイング)により道半ばにして頓挫することとなる。確かに、若干体力的にハードなのは否めないが、それ以上の絶景と爽快感、達成感を味わえるはずだった。今回、新たな挑戦者が現れたことで、当時を振り返りながらその全容をご紹介する。(つづく)

 

2018年10月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続財産管理人

現在、弊所で初めて『相続財産管理人』に就任しています。

『相続財産管理人』とは、亡くなった方に相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をしたため結果的に相続する者がいなくなった場合などに、家庭裁判所によって選任されます。(通常は弁護士や司法書士が選任されることが多いです)
相続財産管理人は、亡くなった方の財産を調査し、不動産を処分したり、亡くなった方の債務を支払うなどして清算手続きを行い、清算後に残った財産を国庫に帰属させます。

また、相続人ではないものの、亡くなった方と特別の関係(縁故)にあった人(いわゆる特別縁故者)がいる場合、財産の一部ないし全部を取得できることがあるため、相続財産管理人は亡くなった方に特別縁故者がいないかを関係者から聴取します。

相続財産管理人に就任してまだ数か月ですが、見知らぬ不動産業者から『亡くなった方の財産で売却予定の不動産はありませんか?』と問い合わせがきたり、亡くなった方の預金口座が他にもないかを調査したりと新しい刺激を感じながら仕事をしております。

亡くなった方とは生前にお会いする機会がなく、どんな方だったのか全く知りませんでしたが、財産の内容や持ち物、関係者の方からのお話により、その方の人物像や人生を垣間見ることができるのもこの仕事ならではだと感じております。

2018年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

エンドレスの法改正

報酬シリーズが一区切り付きましたので、次のテーマを見つけるまで、閑話休題的に書き綴ります。

法律の仕事に携わっていると、避けて通れないのが法改正です。

私が司法書士試験に度合格したのは平成8年ですが、同じ年に民事訴訟法が大改正されました。試験は旧法からの出題でしたが、実務に足を踏み入れた途端に受験勉強時代の知識は使い物にならない事態に陥ったことを今でもよく覚えています。

その後も、破産法、不動産登記法、会社法、特定商取引法、割賦販売法、家事事件手続法、信託法など、実務でもよく利用する法律の大改正が続いたほか、この間には消費者契約法、成年後見制度に関する各種法律、民事再生法、特定調停法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律など、司法書士実務を進めるうえで不可欠な新法も多数成立しており、常に新しい法律との格闘を繰り返している状態です。

そしてまた、民法というとても重要な法律に関し、相続法大改正、さらには債権法大改正が間近に迫っています。
この二つの法改正は、日常生活に多大な影響が生じるものであることから、入念な準備が必要となります。立ち止まっている暇はありませんね・・・  (中里)

2018年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

遂に、民事信託(遺留分)に関する判例が出た!

民事信託に関しては、いろいろな論点があるのですが、実務の歴史が浅いので民事信託に関する判例が出ていないと言われていました。

中でも、遺留分に関しては、学説が分かれていて実務的にも関心が集まるところでしたが・・

信託と遺留分に関する判例が平成30年9月12日に東京地裁で出たようです。

遺留分に関する学説には、大きく分けて【参考】に記載の2つがあります。

今回の判例は、公開されていないために詳細は不明ですが、一応、受益権説に立ちながら信託契約の効力を一部否定したようです。

いずれにしても、民事信託に関する実務は固まっていない状況です。だからこそ、法の趣旨に合致した実務が大切になると思います(ななみ)

【参考】信託と遺留分に関する学説

受益権説

  • 遺留分減殺請求の対象は受益権の付与であり、遺留分減殺請求によっても信託行為の全部または一部の無効を主張できない。遺留分権者は受益権の一部移転を請求できるにとどまる。

信託財産説

  • 遺留分減殺請求の対象は受託者に信託財産を移転する信託行為であり、遺留分減殺請求により信託行為全部または一部の無効を主張できる。

この判例がされているHPをご紹介しておきます。

遠藤家族信託法律事務所
http://www.kazokushin.jp/

民事信託・家族信託の徹底活用!
http://www.tsubasa-trust.net/2018/09/blog-post.html

2018年10月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(1)

近年、相続登記が未了であることによって取引できない不動産が増加する傾向にあると言われています。

相続登記がされていない原因は様々考えられますが、相続開始から長期間が経過し相続人の確定が困難となる場合や相続人の人数が多くなり協力が得られない場合などが考えられます。

そこで相続登記制度のあり方を見直す必要がありますが、今回は、相続登記における登記原因証明情報の視点からあるべき相続登記制度を考えたいと思います。特に遺産分割協議による相続登記に絞って考えたいと思います。

まず、現行の不動産登記法における登記原因証明情報の意義を確認したいのですが、その前に登記原因証明情報より大きい概念の話として,不動産登記制度の目的を考えますとこれは、まず先に現在の権利状態の公示という目的があるわけですが,このほかに、物権変動の過程と態様を忠実に公示し、真の権利者の対抗力を確保することそして,これから取引に入ろうとする第三者の調査資料を提供することそうすることによって取引の安全を図るという目的もあります。

そうすると、登記原因証明情報は
①登記が現在の権利状態に一致していること
②物権変動の過程と状態(態様)を忠実に反映するものでなければならない

つまり,物権変動の当事者である人と物権変動の対象である不動産、物権変動原因である実体上の法律行為または法律事実を証するものでなければならない、ということになろうかと思います。(本木敦)

2018年10月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

図6

問題は、②の受益権取得を遺留分侵害行為ととらえる説です。「受益権」が遺留分侵害行為の目的物となりますから、遺留分権利者は「受益権」の持分を取得することになります。これは、遺留分権利者が受益者になるということを意味します。したがって、信託設定時に予定していなかった者が、信託関係者として信託に参加していくことになります。そうなると、信託の運営に支障を生ずる可能性があります。なぜなら、受益者はさまざまな監督権を有しているため、信託の運営に対して口を挟むことなどが考えられるからです。前回、説明したような委託者と受益者の合意による終了も、遺留分権利者たる受益者が応じない可能性があります。

よく「信託には遺留分に配慮せよ。」という言葉を耳にしますが、前回の①説を採るならば、それほど遺留分を意識する必要はないと個人的には考えております。なぜなら、遺留分減殺請求の結果、信託設定時に予定されていた信託関係者だけで信託を続けるのか、それともやめるのかの合意をすればよいからです。このことは、信託の設定者である委託者としては、納得のいく範囲ではないかと思われます。しかし、②説は違います。予定外の人が信託に参加した結果、信託の運営方法または終了について信託設定者の想いとは離れた人(遺留分権利者)の意向を伺う事態が生じてしまうのです。

遺留分減殺請求によって、信託財産が目減りすることは問題かもしれません。信託が終了してしまうことも問題かもしれません。しかし、もっと大きな問題は予定外の人が参入して、問題を抱え続けることではないかと私は考えます。

「信託には遺留分に配慮せよ。」という言葉の裏には、このようなリスクが存在することを認識しておいてください。

なお、①説と②説のいずれを採用すべきかについては、現段階で結論は出ていません。通説と呼ばれる段階にも達していないと私は理解しています。しかし、主流は残念ながら②説です。理論的にも②説が自然ですし、私も②説であると考えております。理論構成については、時間が許せば後ほどお話ししたいと思います。今は、この辺で区切りをつけます。(小出)

 

2018年10月16日 | カテゴリー : 信託の基礎 | 投稿者 : trust

こば紀行#74 榛原郡吉田町

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第74回目は吉田町

こばやしは前職時代、この街で2年半暮らしたことがある。28歳の頃の話だ。とにかく仕事漬けの日々で、とにかく風が強かった。アパートの4階で干していた洗濯物が、どれだけ吉田の強風に飛ばされなくしたか分からない。自分史の中では暗黒時代に位置づけられるが、久しぶりに来てみるとそれなりに感慨深い。そんな吉田町を、当時のこばやしゆかりの地を中心に振り返ってみたい。

~小山城~

吉田町が小山城址に能満寺山公園として整備し、町のシンボルとして展望台小山城を設けた。展望台からは吉田の街全体を見渡すことができ、御前崎の海岸線も遠望できる。城も含め園内は庭園のような造りになっていて、ちょっとしたデートに向いている。おそらくこの町で青春時代を過ごした方なら誰もが利用したことがあるのだろう…(他にいくとこもないし)。が、当時のこばやしはこの地に足を踏み入れたことはない。なぜなら、ここに私の青春はなく、暗黒時代だからだ。

~カレーショップきしばた~

150号線沿いにある地元のカリスマカレー店。11時の開店前からすでに待ち客ができるこの店は、地元では道路を挟んで向かいにある「さわやか」よりも人気かも知れない。ドライカレーの上にカレールーがかかっているのが特徴で、トッピングでカツ、ポーク、チキンが選べる。席はカウンター20席程度、ほとんどの客がドライカツカレー、通称「ドラカツ」を注文している。私の注文もドラカツ大盛り辛口、休日のお昼ご飯は大概このパターンであった。私が通っていた当時はおっちゃんが1人で店を切り盛りしていたが、今は代替わりしたのか息子2人とかあちゃんの体制だ。味と、少しでも減るとすかさず継ぎ足されるお冷やの接客は確実に受け継がれている。

~松月堂~

和菓子とスイーツの店。生クリームどら焼きが看板メニューで、仕事の合間によくこのどら焼きを食べていた。楽しみと言えばこのどら焼きを食べる時くらいで、どれだけ闇が深かったんだろうと今改めて思う。生クリームをどらやきに挟んでるが、それ以外に味がチーズ、ブルーベリー、抹茶、コーヒー、メロン等々10種類以上の中から選べるが、おそらくシンプルなのが1番かと。

振り返ってみてもこのくらいしか出てこない思い出の街吉田町、私はこの街が大好きである。(こばやし)

 

2018年10月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust