献体法

まず、告知です。

相続・遺言のお話

相続・遺言に関する相談会です。昨年も同様の相談会を行ったところ、非常に好評だったことから本年も開催することになりました。収容人数に限りがありますので、早めのご来場をお勧めします。

皆さん、「献体法」という法律をご存知でしょうか。正確には、「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」と言います。名前から察するとおり、この法律は献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的として定められています。この献体法3条には、「献体の意思は、尊重されなければならない。」と規定されています。この3条を積極的に解すると、書面等によって献体の意思を表明していれば、相続人の承諾がなくても、正常解剖を行うことができると解釈できそうです。

 

しかし、相続人が積極的に解剖を拒む場合でも、献体の意思に基づいて正常解剖を行うことはできるのでしょうか。なぜなら、人が死亡すれば、その人の権利能力はなくなってしまいますから、法的主体としてその人の献体の意思が法的効力を持つのか、という疑問があるからです。その点を踏まえて、献体法は「尊重」という文言を使用しているとも考えられます。

どのような結論が正しいのか、いまだに悩んでおります。(小出)

2019年3月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#86 東京グルメツアー

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第86回目は東京グルメツアー

仕事で新宿に行く機会があったのでそのついでにプラプラと立ち寄ったお店の紹介。1件目は「えびそば一幻」新宿駅西口から徒歩5分、ラーメン激戦区なので他にも名店はいくらでもあるのだろうが、何となくここに惹かれた。21時入店、店内はカウンターのみ20席程度、ウェイティングは10名以上、食べログ3.5以上なだけにさすがの人気ぶりだ。店内には芸能、スポーツ分野で活躍する有名人のサイン色紙でいっぱいだ。が、それ以上に気になるのはスタッフも、来店する客も、アジア系外国人が半分弱を占めている。

店名にあるとおり、えびの風味が効きまくったラーメンで、味はえびみそ、えびしお、えびしょうゆ、の三種から選び、さらに味付けでとんこつスープをブレンドするか、えびの風味をそのまま残すストレートにするか、とにかくスープへのこだわりが凄い。麺も太麺、細麺から選べる。パッと見の品数は少ないものの、スープと麺の組み合わせ、トッピングなどで顧客オリジナルのメニューを作り出せるし、再訪の動機にもなる。何を売りたいのか対象が明確で、かつ飽きさせない。流行の店に共通した特徴で、名店の条件とも言える。オーダーしたのはえびみそ、太麺、ほどほどブレンド、えびおにぎり、餃子。サイドメニューはなしで大盛りにすれば良かったと思う。後で知ったが、東京駅八重洲地下にも店舗がある。

2店舗目は「たいめいけん」。東京駅から徒歩10分程度、日本橋のオフィス街にある店舗。オムライスが食べたくて入ったお店。タンポポオムライスは伊丹十三監督の映画「タンポポ」に由来しているそうだが詳細はよく分からない。その看板メニューをオーダーする。店は1階と2階があり、少しコンセプトが違っていて、同じ店なのだが2階の方が少し高級だ。後で知ったのだが1階にはオムライス以外にもハヤシライス、ロースカツ、ハンバーグ、スパゲティー、洋食と言われる類いのものは一通りあるし、極めつけはラーメンまであるらしい。何かの手違いで2階に入ってしまったのだが、私ごとき者には当然1階の方がしっくりくるに決まってる。帰り際、外から1階の中の様子を恨めしそうに見ながら帰路につく。

何だか出来損ないの食べログ記事のような回になってしまったことを心から恥じる。(こばやし)

2019年3月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続したくない不動産は拒否できる?

ご自宅以外に山林や畑などの不動産をお持ちの方が亡くなり、相続登記のご依頼をいただいた際、稀に相続人の方から「自宅の土地建物は相続登記をするけど、畑や山林については別に相続人の誰もが要らない土地なので、相続登記をしたくない(相続人間で誰が相続するかも決めたくない、放置しておきたい)」と言われることがあります。

まず、これについては「一部の遺産についてのみ相続手続きをすることが可能であるか」という点と、「一部の遺産について相続すること自体を拒否できるか」という点に分けて考慮する必要があります。

「一部の遺産についてのみ相続手続きをすることが可能か」については、結論から申し上げますと可能です。基本的には、遺産全部について相続人全員で協議を行い、誰が何を相続するのかを決めるのが大前提です。しかし、遺産が多い場合や協議が難航しまとまらない場合などは、全員の協議が整った遺産のみで遺産分割協議を一旦まとめ、その他の遺産は別途協議を続ける場合があります。

 

「一部の遺産について相続自体を拒否できるか」については不可能です。相続を放棄する手段として、「相続放棄」という手続きがありますが、この手続きをするとその方が相続人ではなくなるので、遺産の全部を取得できなくなります。

例えば、「A土地は欲しいけど、B土地はいらない」という場合、B土地を他の相続人の誰かが取得することで相続人全員の協議がまとまるのであれば、B土地を相続しないことは可能です。しかし、相続人全員がB土地をいらない場合、B土地の所有権を相続人全員が放棄することはできません。遺産分割協議が整っていない(誰が相続するか決まっていない)遺産は、相続人全員の共有状態となるため、B土地は相続人全員の共有状態となり、相続人が亡くなればその相続人、その相続人が亡くなればそのまた相続人、と延々と相続されていくことになります。

 

よって、一部の遺産について手続きをしないことは可能ですが、手続きをしなかった遺産については後の世代に引き継がれていくことになります。時間が経てば経つほど解決に時間も労力もかかりますので、後の世代に大きな負担を残すことになります。

また、相続手続きが完了していなくても、固定資産税は相続人が支払う必要があります。しかも固定資産税は代表者1名に全額請求されますので、自分だけの土地ではないのに相続人の1名が固定資産税を払い続けることになります。(他の相続人にも固定資産税を負担してもらうことは可能ですが、自分で他の相続人に個別に請求して取り立てる必要があります)

いらない不動産がある相続人の方には、とりあえず誰が相続するのかを決めてもらい、売却するなり、寄付するなりの手段がないかを考えていただくことになります。

2019年3月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

よくある相続における勘違い

相続のご相談をお受けしていると、よくある勘違いというのがあります。

今回は、「相続人は誰?」というテーマにおける勘違いです。

 

子どもがいなければ、自然に妻(夫)が相続人になる?

 

お子さんがいない場合、相続人は、配偶者と本人の親になります。

親が他界しているときには、配偶者と本人の兄弟姉妹が相続人になります。

ここを勘違いして、例えば、夫から妻へ「オレに万が一のことがあっても相続人はお前だけだから安心しろ」と言われているケースが意外に多いようです。

この場合、夫が他界してから相続手続きが必要となった妻が専門家を訪れることで、夫の兄弟姉妹も相続人であることをはじめて知ることになります。

この現実を知り、私の目の前でうなだれる妻の姿を、私は何回も見てきました。

妻のために遺言書が書かれていれば、兄弟姉妹には遺留分の権利はありませんので、遺言書の内容は実現され、妻が兄弟姉妹から遺留分の請求を受けることはありません。

相続のセミナーや書籍の中で、お子さんがいない場合には、お互い、遺言書を書いておかれることを勧められるのはこのような背景があるからです。(名波)

2019年2月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(12)

(1)司法書士が遺産分割協議書を作成した場合
司法書士が遺産分割協議書を作成した場合には、相続人全員に面談して相続財産の分配内容を確認し、相続人本人であることを確認することが原則です。

◎例外として、相続人が海外などの遠方に居住しているなどの事情があるときは、司法書士が相当と認める方法で意思確認を含む本人確認を行うことも考えられます。

◎確認方法としては、面談・電話・手紙などによる実質的な確認をすべきと考えます。

◎相続人の遺産分割協議書に押印された実印と印鑑証明書の照合だけでは形式的書面審査とかわらないからです。

次は相続人が遺産分割協議書を作成した場合について考えます。

(本木敦)

2019年2月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

適格消費者団体

本日は、とある活動を紹介しようと思います。

現在、あちらこちらで「消費者問題」が発生しています。例えば、結婚式場を申し込むために申込金を支払ったが申込後にキャンセルしても返金に応じない、着物の展示会で販売員から強引に商品を購入させられた、といったようなものです。このような被害は、金額が高額でない限りしぶしぶ犠牲を払ってしまうこと(いわゆる「泣き寝入り」)によって終わってしまうことが多々ありました。

しかし、これでは将来の被害者を食い止めることができないため、何らかの予防策が必要となります。そこで消費者契約法では、不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体(「適格消費者団体」といいます)を規定し、この適格消費者団体に差止請求権の行使というのを認めました。

上記の例で言えば、結婚式場の不当な規約の変更や着物の展示会での不当勧誘の禁止を請求することを裁判所を利用して行うことができるのです。この「適格消費者団体」は全国で19あるのですが、残念ながら静岡県にはありません。そこで、弁護士、司法書士、消費者相談員から構成される有志によって設立を目指すこととなりました。そのメンバーに私も加わっております。

上記のとおり、「適格消費者団体」になるためには、内閣総理大臣の認定が必要です。認定されるための条件はいくつかあるのですが、その一つとして「実績」を積み上げなければなりません。先ほどの例のような事業者の不当条項や行為に対して申入を行い、事業者が改善をするということが「実績」ということになります(まだ、私たちの団体は認定されていないため、裁判上の差止請求権はありません)。

私たちが安心して消費活動を行うためには、適切な商行為の確立が必要です。それを事業者だけに任せるには限界があります。そこで、監視役として「適格消費者団体」が必要だと考えております。設立に向けて頑張っていこうと思います。(小出)

2019年2月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#85 関ヶ原への道①~大垣城

のコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第85回目は大垣城

1600年関ヶ原の戦い。戦いの直前、西軍石田三成は大垣市の中   心部にあるこの城に入城している。諸説あるが、三成は当初、この城を本拠に徳川家康率いる東軍を迎え撃つつもりであった。しかし、野戦を得意とする家康は、敢えて大坂へ行軍するとの情報を西軍に流し、三成率いる西軍は、おびき出されるように先回りして関ヶ原西方に布陣する。

もしかしたら、天下分け目の戦いはこの城を舞台に繰り広げられ田かも知れない…そんな場所なだけに、城の中は関ヶ原の戦いにまつわる資料や情報が盛りだくさんである。中でも見どころなのは、戦い前日や当日の様子を、家康、三成、それぞれの視点から解説したVTRであり、大変興味深い。しかもこのVTR、監修はなんと、今は亡き堺屋太一氏である。余さず観ようとすると2時間を超えるボリュームだが、あまりの面白さにこばやしは釘付けとなる。

軍事専門家の目からも、関ヶ原における布陣、軍勢を見た限りでは西軍有利と言われるこの戦い。それがなぜ半日という短期間で東軍の勝利に終わったのか?この城にある展示物は、そんな興味をかき立てる。大垣城から決戦の地まで、わずか15キロ…関ヶ原にまつわるこばやしの歴史探訪が今、始まる。(こばやし)

2019年2月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

専門家の責任

先日、以前ご相談いただいた方からご連絡いただきました。

聞くと、相談者の父親が亡くなり相続手続きが発生したのですが、遺産が多く相続税の申告が必要だったので税理士さんに頼んで相続税の申告をしてもらったとのこと。

その相続手続きの中、遺産のうち、A土地は相談者、B土地は別の相続人(相談者の妹)が取得することで協議はまとまっていたのですが、税理士さんが、「A、Bの土地両方とも相談者と相談者の妹の共有で相続すれば特例措置が使えるので相続税が安くなる」「一旦は2名の共有の土地として相続しておいて、相続税の申告後にそれぞれの土地について共有物分割手続き(※)を行い名義を移して単独所有にすればいい」「相続手続きと共有物分割手続きの2回名義変更する費用は発生するが、相続税が安くなるメリットの方が大きい」との提案を受けたそうです。

(※)共有物分割・・不動産などを2名人以上で共有している場合に、その共有状態を解消する手続

 

相談者の方はその提案を受け入れ、A、Bの土地を妹さんと共有で相続することにし、その登記手続きが完了しました。その後、相続税の申告も完了したので共有状態を解消すべく「共有物分割」の手続きを行おうとしたところ、A、Bの土地両方とも農地であり、このままでは「共有物分割」の手続きが行えないことが判明しました。

相談者の方は当初、税理士さんが紹介した別の司法書士とやり取りしていたものの、一連の相続手続きやこの農地の取り扱いについて話がかみ合わず、面識があった弊所にご相談いただいたわけです。

 

土地が農地の場合、農業保護のため、「農地法」という法律により農地を農業以外の目的に使用したり、名義を変更したりすることに規制をかけています。詳細な説明は割愛しますが、A、Bの土地(農地)を共有物分割するには農業委員会の許可を取得するなり、AとBの土地を宅地や雑種地等に転用するなり(農地を宅地や雑種地を変更するのにも農業委員会の許可は必要です)する必要があります。許可の取得の要件が様々あるため、申請すれば絶対可能、というものではありません。

共有物分割手続き以外にも、「持分放棄」という手段を使えば、農業委員会の許可をとらなくても名義を変更することができます。しかし、持分放棄の場合、このケースでは数百万単位の贈与税が相談者と妹さんに課税されることになるので使えません。今後何とか農業委員会の許可を取得し、共有物分割手続できないかを検討するしかない状態です。

相談者が税理士さんに確認したところ、税理士さんは今回の提案をする際A土地B土地が農地であることや農地法などについて全く考慮しておらず、他の専門家に確認もしなかったことが判明しました。しかもそれを相談者が指摘したとき、「自分の職域ではない」と非を認めなかったそうです。

確かに不動産の登記や農地法の許可は税理士さんの分野ではありませんが、だからといって自分が提案したとおりの結果にならなくても責任がない、というものではないと思います。

専門家だからこそ、周辺の分野に対する知識を深め、他の士業との連携を深めることが必要だと思います。

2019年2月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

モメる原因は、人間関係にある!?

相続セミナー等で講師をするときに、必ずお見せする図があります。

下記の氷山の図です。

今日も、相続セミナーの中で、「氷山」のお話をさせていただいたところ、参加者の方々がザワザワしながら頷いていらっしゃいました。

相続で揉める背景には、過去の人間関係の積み重ねがあります。

相続人=家族ですので、人間関係の積み重ねは他人よりも長く、深くなります。

だからこそ、人間関係の影響をより受けることになります。

このことは、民事信託でも同じことが言えます。

民事信託には遺言機能があるからです。

民事信託を活用する場合には、なるべく家族会議をすることをお勧めする理由でもあります。

(名波)

2019年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(11)

ここまで何度かご説明したとおり,結論としては,司法書士による登記原因証明情報としての遺産分割協議書の確認はその内容の真実性、有効性、適法性に及び、遺産分割協議が真正に成立したこと、物権の得喪が各相続人の意思に基づくこと、各相続人が本人に間違いのないことを確認することとなります。

その場合であっても課題あります。こちらで検討したものは本人確認・意思確認の範囲・程度という点と相続人の確定という点です。

確認の範囲・程度について3つの切り口にわけて考えてみましたので,次回からご報告いたします。(本木敦)

 

2019年2月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust