今日のお話のメインである「任意後見」は、後見組織の形成に本人の意思を反映させる制度です。
相続制度は、本人の意思を表明しないままに死亡したときに備える相続制度と、本人の生前の意思表示を尊重する遺言制度があるように、成年後見制度においても、本人が意思を表示しないまま判断能力が低下した場合に備える法定後見制度のほかに、本人の事前の意思表示を尊重する任意後見制度を設けているのです。
それでは、このような後見制度があることはおわかりいただけたとして、やはり、日常生活のなかで支障が出てこなければこのような制度を利用することを考えないのが実際のとことだと思います。それでは皆さんどのようなきっかけでこの制度を利用しているのでしょうか。
気がついたら本人が意思を表示しないまま判断能力が低下した場合に備える法定後見制度のきっかけについて、私が実際に扱わせていただい事例からご説明していきます。(本木敦)