父と兄の共有の建物(土地は父名義)に父が住んでいる場合の財産管理

例えば、父と兄が共有の建物(土地は父名義)に父が住んでいる場合で、父からすると娘、兄からすると妹にあたる方から財産管理の相談がある場合、父の財産についての民事信託や成年後見制度の活用を真っ先に考えるのが通常だと思います。でも、私は、将来的に財産管理上課題がでてくるのは兄の名義の方であると思います。

相談者からすると、父が認知症になったり、認知症が進んだ場合に、施設に入所するための資金を土地や建物を売却できるか否かで頭がいっぱいです。兄の名義はそんなに気になっていません。しかも、兄が協力的であればなおさら、兄の名義のことについては考えることは少ないと思います。

よく考えてみると、父の方は、施設入所の目的であれば父の生活を支えるためですので、成年後見制度でも裁判所の許可を得れば土地や建物(父名義)の売却できると思います。

では、そのときに兄が交通事故や病気で寝たきりになっていたらどうでしょう。兄にも成年後見人を選任する必要がでてくると思いますが、不動産の売却の目的はあくまでも父の施設入所のためです。とすると、兄の後見人としては、兄の持分の売却には慎重にならざるを得ません。また、兄が他界した場合には、兄の相続人に売却のお願いをする必要がでてきます。

そこで、一つの選択肢として、考えられるのが、兄の名義をあらかじめ信託してもらうということです。

民事信託の活用も慎重に考える必要はありますが、いろいろなことを検討する中で、民事信託の活用できそうな場面というのが登場することがあります。(名波)

2019年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust