先日、話した認知症の症状である中核症状についてもう少し深く(といってもそれほど深くはないですが)話してみたいと思います。
中核症状の一つに、記憶障害というものがあります。これは、本人や家族が最初に気が付く認知症の症状です。認知症の記憶障害の特徴は、「生年月日(=過去)は覚えているが、自分の年齢(=最近)は答えられない」、「自分が生まれた場所は覚えているのに(=過去)、最近引っ越した現住所(=最近)は答えられない」というように、過去の古い記憶は保たれていますが、最近の記憶が障害されていることであり、その結果、新しいことを覚えるのが苦手になります。
また、同じ記憶でも、自分が実際に経験した出来事に関する記憶(エピソード記憶)や単語や概念などの一般知識に関する記憶(意味記憶)に比べて、楽器演奏など技能や操作に関する記憶(手続き記憶)は比較的保たれていることが多いそうです。(小出)