遺言や相続の手続きが変わります(12)~相続登記、今まで以上にお早めに?

これまでも司法書士会では「相続登記はお早めに!」と広報活動を繰り返してきました。長期間にわたり相続登記を放置すると、権利関係が複雑化したり、災害時の普及対策や円滑な公共事業に支障が生じたりするなど、「お早めに!」とお勧めする理由もたくさんありました。

ところで、今回の改正では「お早めに!」がより深刻な問題となります。
次のような設問を例に、改正前後の違いを検討してみましょう。

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【事例】
A(父)が死亡し、相続人はX(私)とY(弟)の子供二人のケース。X・Y間で遺産分割協議をし、Aの遺産である甲土地はXが相続することとなったが、相続登記を終えていない状態。

ところで、Yには借金がありました。Yに金を貸しているNファイナンスは、甲土地の相続登記が完了していないことに注目し、XやYの代わりにAからXY名義への相続登記を申請したうえで、Yの持分を差し押さえてしまいました。

先行する遺産分割協議で、甲土地はXが相続することとなっていますので、Nファイナンスによる相続登記は無効は?
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Nファイナンスによるこのような登記申請を「代位登記」といいます。Nファイナンスのように、相続人の一人に対し債権を持っている者は、代位登記の手法によって相続人に代わって相続登記を申請することができるのです。なお、この場合の相続登記は、法定相続分割合のとおりとなりますので、このケースでは、X・Yともに2分の1となります。

本来ならX単独所有となるべきはずなのに、Nファイナンスによる代位登記によってX・Y共有名義となり、さらにYの持分が差し押さえられて競売にかけられることになってしまっては、Xとしても文句を言いたいところですよね。

皆さんは、この結末がどうなるかわかりますか?
実は、法改正の前後によって答えが変わります。
次回、詳しく解説いたしますので、あれこれと頭をひねってみてください!  (中里)

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