相続登記について(6)

まず、遺産分割協議の「意義」ですが、

相続には被相続人の遺産についての相続人の「潜在的持ち分の払い戻し」という側面があります。

相続人は遺産分割協議のなかで法定相続分を超える財産を取得したり、事実上の放棄をおこなったりすることができます。

家督相続制度、つまり、法律で定められた特定の一人が遺産を承継する制度は戦後廃止されています。

このため、相続人が話し合うことで遺産を分割することは、本来、公平に潜在的持ち分の払い戻しするという意義から重要な協議といえます。

(本木敦)

2018年12月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

次は分別管理義務です。

分別管理が必要な理由は、信託財産の特定性の確保です。繰り返しますが、信託財産の所有者は受託者です。その受託者は固有財産も所有しています。信託財産の債権者は固有財産を責任財産とすることができました。しかし、固有財産の債権者は信託財産に対して、強制執行等はできなかったわけです。

しかし、固有財産の債権者が、間違って信託財産に強制執行をしてしまう可能性もあるわけです。その場合、受託者又は受益者は「それは信託財産だ」と異議を述べることができますが、信託財産であることを証明しなければなりません。このとき、信託財産が分別管理されていれば証明が容易になります。だから受託者に分別管理義務を課しているということです。

分別管理の方法は、不動産や自動車であれば「登記または登録をする方法」となります。一般の動産は「外形上区別することができる状態で保管する方法」です。債権や金銭は「計算方法を明らかにする方法」となっています。(小出)

2018年12月10日 | カテゴリー : 信託の基礎 | 投稿者 : trust

koba紀行#79 ソウル①

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第79回目はkoba紀行海外編第1弾、ソウル①

2018年11月、こば紀行は遂に海外に進出、グローバル化社会に対応すべくこば紀行も日々進化する。浜松からセントレア(中部国際空港)まで高速バスで約2時間半、空港待ち2時間、その後韓国仁川空港まで1時間半、ギリギリ日帰り圏内だ。焼肉食って、キムチ食べて、買い物するだけなら日帰りでも行けなくもない。そして、それで十分な気がしなくもない。今回のシリーズでは、私が体験したこのソウルの魅力を余すことなくご紹介したい。

仁川国際空港を降りてからはバスでソウル市内まで約1時間半、市街地の交通渋滞は日本のそれよりもすさまじく、割り込み幅寄せは当たり前、公共交通機関であるはずのバスでさえ、常にパッシングやクラクションを鳴らしまくっている。日本の巷で騒がれている「あおり運転」レベルのことをバスの運転手が行っていることに驚愕した。ただ、目的地に辿り着くまでのちょっとしたアトラクションだと思えば、このバスの乗り心地もさほど悪くはない。

ホテルにチェックイン後、早速焼肉を食しに街に出かける。ソウルの繁華街らしき場所には日本人観光客、特に女性同士の観光客が多い。看板や店内のメニューは基本、ハングル文字での表記であるが、想像していたよりは日本語表記が多い。韓国の通貨単位はウォンであり、1円→10ウォンというように、表記されている金額から0を1個取れば日本円での金額となるため計算はしやすい。そして、物価相場もだいたい日本と同じレベルの印象だ。グループで連れ立っていけば、いざ両替を切らしていても、仲間同士での清算が楽にできるというメリットはある。

最初に入った焼肉屋のメニューは右のとおりで、案外選べる種類は少ない。そして、1番気になったのは、鉄板が地元の某人気ハンバーグチェーンのものに似ていること。焼肉屋は全部で2軒ほどまわったが、そのいずれでもキムチやナムル、サンチェらしきものはオーダーしなくても勝手についてくる。そして、キムチは鉄板で肉と一緒に焼くものらしく、このキムチ自体は少し酸味が強いが、それなりに美味しい。肉もスタッフが焼いてくれて、食べやすい大きさにハサミでカットしてくれる。こうした現地の雰囲気と、無愛想な韓国人のオッサンの接客により、なんとなく本格感が増す。ただ、冷静に味だけを評価するならば、日本での韓国料理のレベルが高すぎるのか、そんなに変わらない気がしなくもない。あくまで私見である。(つづく)

 

 

2018年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

長期相続登記等未了土地解消作業

最近、土地の所有者が死亡した後も、長期間にわたり相続による所有権の移転の登記等(相続登記)がされず、所有者の所在の把握が困難となり、公共事業に伴う用地取得等に支障を来すなどの、いわゆる『所有者不明土地問題』が顕在化しており,社会的な関心を集めています。

この問題により、自然災害発生後、復興事業を進めたくても一部の土地の所有者が生きているのか亡くなっているのかもわからず、収用ができすに作業がなかなか進まないなどの大きな影響がでております。

 

この『所有者不明土地問題』を解消すべく、国が相続人調査をし、相続人に対し相続登記を促す手続きが現在全国各地で急ピッチで進められております。

ただ、相続開始から長期間経過しているため、相続関係が複雑なものが多く、相続人を全員特定するだけでも相当の労力がかかり、場合によっては様々な事情により相続人を特定することができない事態も想定されております。

また、相続人が全員特定され相続人に対し相続登記を促した場合でも、そういったケースでは相続人が全部で数十人いることが一般的でしょうし、他の相続人と面識があると思えません。

面識がない複数の方々と自力で協議をし、相続手続きを完了させるのは並大抵のことではありません。

 

国も限られた予算の中で何とか『所有者不明土地問題』を解決すべく様々な対策が検討されていますが、私有財産に対し国が直接手を出す、というのは中々ハードルが高いのが実情です。

 

そもそも、なぜ長期間にわたり相続登記がされず、所有者の所在の把握が困難となったのかですが、色々なケースが考えれます。

(1)手続自体を知らない 又は手続に費用がかかるので放置した

(2)相続人間で協議をしないまま長期間経過し、協議をすることが困難になった

(3)相続人間で協議が整わなかった

(4)その土地を所有していたこと自体を知らなかった

 

(2)のケースでご相談を頂くことがあるのですが、「なぜ相続人間で話をしなかったのですか?」と聞くと、「何となく財産の話がしにくくて、そうこうしているうちに相続人が高齢で認知症になった(又は相続人が死亡してしまったので話が余計しにくくなってしまった)」というお答えが多いです。

特に、相続人が配偶者と亡くなった方の親の場合や、配偶者と亡くなった方の兄弟の場合は、関係性から何となく財産の話ができず、そのままになっている方が多いように思いますが、そういったケースでは、生前に遺言書を作成することでスムーズに相続を進めることができます。

また、(3)のケースの場合、相続人間だけでは話し合いが難しい場合、弁護士に頼むのは費用がかかるので止めてしまったという方もいますし、家庭裁判所で調停をしたけど決着がつかなかった、という方もいます。このケースは精神的にも金銭的にも相続人に負担がかかるため、手続き自体をあきらめてしまったという方も少なくありません。

 

ただ、全てのケースに言えることですが、手続きを放置して自然に解決することはありません。次の世代が苦労することになります。

 

では、どうすればよいのか、と聞かれると非常に難しいのですが、揉めないように生前に対策をしておく(遺言・贈与など)、揉めたら早めに専門家に相談することをお勧めします。

 

 

 

2018年12月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

遺言や相続の手続きが変わります(2)~配偶者居住権①

今回の改正は多岐に亘りますが、まずは「配偶者居住権」を取り上げてみましょう。
改正法によって成立した新たな権利で、その概要は次のとおり、短期と長期の二つに分類されています。

相続の相談を受けていると、しばしば高齢の未亡人から「住宅は私の名義にしておかないと子供たちに追い出されちゃう…」なんていう冗談とも本音とも取れる吐露を耳にしますが、新設された配偶者居住権は、このような不安に応えることができる制度だとイメージしてもらえば理解しやすいと思います。

(1)短期配偶者居住権
夫が死亡した場合、残された妻は、遺産分割協議が調うまでもしくは夫の死亡の日から6か月が経過する日までのいずれか後の日まで、住宅に無償で居住を続けることができる権利のことです(改正法1037条)。
もちろん、妻が先に死亡し夫が残された場合も同様ですが、以下では「夫に先立たれた妻」という想定で進めていきましょう。
仮に住宅の所有権を子どもの一人が相続する内容で早々に遺産分割協議が調ったとしても、妻は、半年間は退去を求められることも賃料を請求されることもありません。
「実の親子でこんなことあるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、世の中にはいろんな家族の形があります。たとえば、残された妻は後妻さんで、子供たちはみんな先妻との間の子。後妻さんとは折り合いが悪いなんでいうケースは、容易に想定できますね。こんな場合に、相続開始後少なくとも半年間は住宅に居住を続けられることになりますので、その間に以後の生活を考えることも可能となるわけです。

(2)長期配偶者居住権
夫が死亡し残された妻が、夫の死亡時に夫単独名義の住宅に無償で居住していたときには、妻は、遺産分割協議や遺贈、死因贈与により(長期の)配偶者居住権を取得することができます(改正法1028条)。
この場合の(長期の)配偶者居住権は、遺された妻が住宅に「死ぬまで」居住できる権利です。ちょっとわかりにくいのですが、住宅の所有権は妻以外の相続人(たとえば、子供の一人)が相続し、妻は、他の相続人が相続した住宅に「死ぬまで居住し続けることができる権利(=長期の配偶者居住権)」を取得するという設計になります。
住宅の所有権を相続した妻以外の相続人は、妻に対しこの住宅について、ⅰ)終身無償で居住させる、ⅱ)第三者への譲渡禁止、ⅲ)妻の承諾なく増改築等不可などの制約を受けることとなるのです。
もっとも、遺言や死因贈与のように夫が生前に何らかの意思表示をした場合を除き、妻に長期の配偶者居住権を認めるか否かは、相続人全員の協議によって決められます。そうすると、他の相続人が妻の配偶者居住権を認めないような場合も想定されますね。この場合、妻は家庭裁判所に対し、配偶者居住権を主張して審判の申立てをすることも認められます(1029条)。家庭裁判所は「配偶者の生活を維持するために特に必要がある」と認められる場合、他の相続人が反対していたとしても配偶者居住権を認める審判をすることができることとされており、これによって妻の「終身居住」を確保することができる制度設計となっています。

なお、住宅がもともと夫と夫以外の第三者(たとえば子供)との共有であった場合、共有者にとってみれば後発的事情(共有者である夫の死亡)によって配偶者居住権が発生し、自身の所有権が制限されることになるのは不合理ですので、このような場合には配偶者居住権は発生しないこととされています(同条1項但書)。

相続法改正の施行日が公布されました。

今年の7月に相続法が改正されましたが、その適用開始日(施行日)が11月21日に公布されました。

整理すると・・

1.原則(下記以外):2019年7月1日

2.自筆証書遺言の方式を緩和する方策:2019年1月13日

3.配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等:2020年4月1日

4.法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行期日:2020年7月10日

5.民998(遺贈義務者の引渡義務)・民1025但書(撤回された遺言の効力)

:2020年4月1日(債権法改正の施行日)

となるようです。

上記のように、同じ日に法律が改正され公布されたとしても、その施行日がずれることがあります。

今回の相続法で言えば、自筆証書遺言の方式が緩和されたとしても、それと関連する自筆証書遺言の法務局での保管制度の開始については、1年とちょっと間が空くことになります。

我々も、相続の相談に対応するときには、施行日を意識しながらアドバイスをすることが大切となります。(名波)

 

2018年12月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust