信託の基礎

最後に、信託の設定でよく書籍に登場する「後継ぎ遺贈型信託」について説明します。

まず、信託の設定方法は3種類あると申し上げました。「信託契約」「遺言」「自己信託」です。この中で、現在私たちグループが実務上取り組んだものは「信託契約」が圧倒的多数です。その「信託契約」の中でも、信託特有の財産承継方法として「後継ぎ遺贈型信託」と呼ばれる方法があります。

 図10

これは、例えばAを第1受益者とし、Aが死亡したらBを第2受益者とし、Bが死亡したらCを第3受益者とするといったように、財産の承継を何代も先まで決めることができる方法です。

ただ、承継先を永遠に指定することは問題があるので、期間に制限が設けられております。30年と規定されてますが、これがかなりややこしいです。条文は「・・当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間・・」となってます。この条文をこれから説明しますが、その解釈は、実は2種類あるのです。

まず一つ目の解釈は、信託設定時から30年を経過した時点よりも後に受益権を取得した者(受益者連続が生じる時に生存している者)がいる場合、その者が死亡するか、または当該受益権が消滅するまで信託が継続する、という解釈です。これは、立案担当者の見解でもあります。

具体的には、A→B→C→Dという順番で受益者が定められていて、30年経過後にBが死亡した場合、Cは受益権を取得しますが、その後のDには受益権の承継はないという考えです。これは、信託設定時から30年経過した後は、先順位の受益者の死亡による後順位の受益者の受益権の取得は1回限り認めるということを意味しています。(小出)

 

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2018年12月19日 | カテゴリー : 信託の基礎 | 投稿者 : trust